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03:ミミとナナの任務。

『ただいまから、悪霊退治を開始します!!!』

二人は涙をぬぐい声をそろえて言うと、その悪霊を誘うかのように外に出て空を飛んだ。そのあとを悪霊が続く。

「いいナナ・・・いつもみたいにくよ。」
「OK、ミミ・・・。」

それだけ言って、二人揃って悪霊に向かって突っ込む。そして、ギリギリのところで二手に分かれる。かく乱するためだ。
そして、二人同時に赤い衝撃波を悪霊に向けて飛ばし、見事に直撃させる。
直撃を受けた悪霊は、どちらに攻撃していいかわからず、とにかく咆哮とともに全体に行きわたる波動を放った。その波動は大きいもので、体の小さなミミとナナはいとも簡単に吹き飛ばされてしまい、別々のところに不時着した。
だが、そんなことでやられたままではいけない。不時着してもなお立ち上がり、再び空を飛び合流する。そして、二人で手をつなぎ力をため、そのためた力を波動の塊として放った。
波動の塊の大きさは、だんだんと大きくなり、その悪霊と同じぐらいの大きさになったと同時に直撃し、悪霊は地面に向かって勢いよく落下した。
ズガーン!と大きな音を立て、先ほどまでいた家の庭に不時着した。大きな砂埃が立ちそれが収まると、母親――美奈子の姿に戻っていた。
すかさず、ミミとナナも降下する。

「・・・・・・。」
「・・・・・・。」

二人は無言で、倒れている美奈子を見つめる。
美奈子は、小さなうめき声とともに目を覚ました。しかし、起き上がることは不可能。半分目を開けたままの状態で、美奈子もミミとナナを見つめる。そして、沈黙が続く。
そして長い沈黙の後、ミミが口を開く。

「・・・ママ、どうして私たちを・・・?」

そのまなざしは真剣なものだった。いつも笑顔が絶えないこの双子にしては、とても珍しい表情だ。
しかし、美奈子は黙ったままだった。先ほどまで見つめあっていたのに、ミミに問われたとたん目線を違う方に向けた。

「答えてよ!!ママはどうして私たちを殺したの!?」

その言葉に、ナナも続く。

「何か理由でもあるの!?私たちには言えない理由が!!」

言っても、美奈子は黙り続けた。

「いつまで黙ってるつもりなの!!?」
「私たちに、本当の事を話してよ!!!」

必死に叫ぶ二人の目には、先ほどぬぐったはずの涙があふれてきていた。そして、声を殺して泣き出した。

「・・・何で・・・何で何も言ってくれないの・・・。」
「お願いだから・・・答えてよ・・・ママ・・・。」

ミミとナナはひざから崩れ落ち、そのまま座り込んでしまった。
その様子を、先ほどまで腰を抜かしていた若い刑事が近寄る。

「何がどうなっているのかわからないが、ひとまず、美奈子さんはキミたちをこれ以上悲しませたくないから、何も言わないんだと思うよ?」

「でも、これは話さなきゃならないことだ。」と刑事は言い、先ほど美奈子が話したことを、代わりに話し出す。
確かに美奈子は、人間だったころのミミとナナを手にかけた。でも、本当はそんなことはしたくなかった。
殺めてしまった理由は、人目に耐えられなかったからだ。人間だったころのミミとナナは、もともと今の服装のように可愛い服を着るような子だった。そんな服を毎日着て毎日でかける姿を、近所の人たちはとても冷たい目で見ていた。
最初は、そんな目線など浴びなかったのだが、いつしかその目線は冷たくなり、美奈子の心を傷付けた。辛い気持が限界に達し、気が付いたら二人を殺めてしまっていたのだという。

「・・・だから、間違っても育児放棄のために行ったわけじゃないんだ。」

その理由を知って、ミミとナナはゆっくりと立ち上がり美奈子の前に近寄る。

「ママ・・・ごめん・・・。」
「気持ちに・・・全然気付いてあげられなかった・・・。」

涙を流しながら二人は言う。

「・・・あなたたちの・・・せいじゃ・・ないわ・・・。」

ようやく、美奈子も口を開いた。しかし、先ほどの戦闘のせいで、声がかすれている。
そんなかすれた声で、美奈子は必死に話す。
二人を殺めてしまった後、自分はとんでもないことをしたことに気付いた。体が震えあがり、誰もいない広い草原の中で泣き叫んだ。そして、頭に浮かんだことは・・・自分も死ぬこと。
二人を殺め、その血で汚れたたナイフを、狂ったように自分の胸に付きたて自殺をした。
気が付けば、自分は空中に浮き、目に見えていたのは自分の体と双子の体。自分は幽体になっていた。ならば、双子もどこかにいると思い探したが、どこにも見つからなかった。探しているうちに時間がたち、いつの間にか悪霊と化していた。もう一度双子に会いたいという思いを持ったまま。
その思いがあったおかげなのか、人間の姿と悪霊の姿、どちらの姿にもなれるようになっていた。自分が命を落としたことを知らせないため、人前にも現れるようにした。
そして・・・今に至る・・・。

「もう・・・思い残すことはないわ・・・あなたたちに会えて、短い時間過ごせただけでも・・・私はそれでいい・・・早く・・・私を・・・・・・消して・・・。」

その言葉に、ミミとナナは同時に叫ぶ。

『そんなこと出来るわけないじゃない!!』
「え・・・?」
「私たちのママだよ?本当のママなんだよ?」
「せっかく会えたのに、消せるわけないじゃない!!」

しかし、人間の姿をしていても、美奈子はすでに悪霊という種族になり果てている。任務の通り、悪霊を回収できる特殊なカプセルの中に入れ、閻魔のもとに持っていかなくてはならない。

『ミミ、ナナ・・・任務の放棄は許されないことだぞ?』

耳に付けたピアス型通信機から、とても言いにくそうな閻魔の声が聞こえた。閻魔もわかっていた。この双子が、どんな気持ちになってしまうのかを。
それでも閻魔は、この任務を双子に任せたのだ。真実は、自分で知らなければならない。そして、その真実から目をそむけてしまわないように・・・。
しかし、ミミとナナはまだ幼い。それゆえに、目の前にいる美奈子をカプセルに回収することはできないし、出来るわけがないと駄々をこねるばかりなのだ。

『・・・仕方あるまい・・・。』

閻魔はそう言って、何かをし始めた。音声を聞いているだけなので、何をしているかは分からないが。
そして・・・しばらくすると・・・。

―シュンッ

と、風を切るような音が聞こえたかと思うと、ミミとナナの前にリースが現れた。

「こうちゃん・・・?」
「どうして?」

突然現れたリースに、疑問符を浮かべる。

「・・・どうしてだって?キミたちが真面目に任務をこなさないからだよ。べ、別に代わりにやってあげるために来たんじゃないよ?こんな事、あの馬鹿にでもやらせればよかったのさ・・・。」

「あの馬鹿」とは、ヴァリスの事だ。しかしこのセリフ、ミミとナナのために来てあげたというのが丸わかりである。

「とにかく、回収させてもらうよ・・・。」
「待ってよ、こうちゃん!」
「お願い!まだママと一緒にいたいの!」

我儘を言うミミとナナを、リースは長々と話し出す。

「我儘言うんじゃないよ!キミたちは何のために来たんだ!?母親に会うため!?母親とともに時を過ごすため!?違うだろ!?キミたちは、あくまで任務遂行のために来たんだ!!たとえ、回収する悪霊がキミたちの母親でも、遂行させなきゃならないんだ!!それができないのなら、キミたちは死神失格だよ!!」

まるで、自分の妹たちを叱りつけるようにリースは言った。その言葉に、ミミとナナは何も言えなかった。

「桃川美奈子・・・だっけ?あんたを悪霊とし、このカプセルの中に回収させてもらう。」
「・・・お願いします・・・。」

美奈子は安らかな笑顔を浮かべると、それを確認したかのようにリースはカプセルのふたを開け、カプセルの中に回収しだす。その途中・・・

「最後に、私からお願いしていいかしら?」

突然リースに話しかけた。

「何だい?手短に済ませてよ、あんたの体はほぼ半分吸収されてるんだから。」
「・・・あなた、あの子たちのお兄さんみたいね・・・。」
「なッ!?お、お兄さん!?べ、別にそんなつもりじゃ・・・。」
「・・・そうであっても、そうじゃなくても、あの子たちをこれからもお願いします。」
「・・・・・・。」

リースは肯定も否定もできず、ただただ黙り込んでしまった。
そして、美奈子は完全にカプセルの中に入って行き、リースはカプセルのふたを閉めた。

「・・・回収完了・・・・・・ミミ、ナナ・・・帰るよ・・・。」

そう言うと、ミミとナナは俯いたままリースにくっついた。声は出てはいないものの、いまだに泣いたままだ。
そして、簡易転送装置で帰ろうとしたとき、そばで見ていた刑事が再び口を開く。

「キミたちは・・・死神なんだよね?」
「それがそうしたんだい?」
「死神が見えるってことは・・・もうすぐ・・・。」
「馬鹿言っちゃいけないよ。僕らは今、人間に姿を見せてるだけだ。ちなみに、あんたはこの仕事を続けている限り、死ぬことはない。職変えたら死ぬかもね。」
「え・・・。」
「ま、今の仕事に誇りがあるなら、定年までしっかりと続けな。じゃぁね。」

そういって、ミミとナナがくっついた状態のリースは、簡易転送装置で帰って行った。



「ただいまもどりましたー・・・っと。」

面倒くさそうに、リースは閻魔の前に帰ってきた。ミミとナナはいまだリースにくっついたままだ。

「・・・すまないな、ミミとナナの扱いはお前が一番適任かと思ってな・・・。」
「おかげで、この二人をお願いしろって頼まれちゃったよ・・・はい、回収したカプセルね。」

そう言ってポケットからカプセルを渡し、閻魔はそのカプセルを見て何かに気付く。

「・・・リース、お前はいつからお人よしになった?」
「あーあ、この閻魔何言っちゃってんのー僕がお人よしなわけないだろ?」

そう言うなり、リースは閻魔の目の前から去って行った。

「・・・全く・・・無理だというのに・・・。」

ポツリと閻魔はそうつぶやいた・・・。


続く・・・。
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