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クロアの過去話。

ボクの名前はクロア。黒い熊の縫い包み。
その前は、藤沢浩介という名の人間だった。
でも、ボクは1歳を迎える前に命を落としてしまった。
よくわからなかったけど、何かのはやり病にかかってしまったらしい。
今回は、そんなボクのお話をしよう。



1月14日。ボクは弟の浩太郎ともに生まれてきた。ちなみに弟のあだ名は「こうちゃん」。しかし、そのあだ名を言うのはまだ先の話になる。
そして、その生まれた日の半年後、ボクは病気になった。あの時はまだ言葉も全然わからなかったから、どんな病気にかかったのかわからなかったけど、とにかく息が苦しかったのは確かだ。何かを口にしてもすぐに吐いてしまうし、何も口にしなくても吐いてしまう。おなかの調子も全くよくなかった。
入院をして治療を受けたけど、ボクはその苦しみに耐えきれず命を落とした。体からスッと何かが抜けるように、ボクの体は動かなくなった。見つめる先は、自分の体。何故ボクがもう一人いるんだろうか?なぜボクは浮いているのだろうか?当時は考えもしなかっただろうけど、おそらくそう思っていたのかもしれない。
弟の浩太郎を背中に背負い、動かなくなったボクの体が入ったケースを揺らす母。

何をしているの?ボクはここだよ?

喋る事が出来るなら、この言葉を母に伝えたかった。しかし、例え伝えたとしても母の耳には届かない。ボクは、自分の体からだんだん遠ざかって行った。手を伸ばして、戻りたいという願いをこめたが無理だった。
いつの間にか病院を飛び出し、ボクは当てもなく空を浮かんでいた。一体どこまで行くのだろうか。
青々とした美しい空に、薄い雲が浮かんでいた。そんな空には、いろいろな鳥が空を優雅に舞っていた。蝶々だって飛んでいた。そんな生き物たちが飛んでいる空間で、ボクは一人ではしゃいでいた。だが、彼らはボクに気付く事はなかった。ボクという存在が浮かんでいるにもかかわらず、その姿が見えていないのだ。その事を悟ると、急にさびしくなって泣いた。しかし、泣いたって誰かが慰めてくれるはずもなかった。ボクは孤独だった。
そして、気が付くとどこかのお店にボクはいた。周りを見ると、どうやらおもちゃ屋さんだった。積み木や、おもちゃの汽車、音のなる小物。いろいろあったが、ボクは縫い包みがある方に進んでいた。そして、辿り着いた場所は黒い熊の縫い包み。目の色は赤く、口の周りは白かった。そんな縫い包みの中に、ボクは入って行った。とても居心地がよく、しばらくその中で眠ってしまった。

しばらくすると、ボクは何かの声に起こされた。

「おい、何処の誰かは知らないが、勝手におれの中に入ってくるとは何事だ?」

何処から声がするんだろうと、辺りを見回すが姿は見られない。

「何キョロキョロしてんだよ。おれはここだ。」

そう言って現れたのは、とても小さな光だった。表情はよくわからないが、たぶん怒ってるんだと思う。

「ったく・・・お前誰だよ。」
「え、あ、ぼ、ボクは・・・あ。」

放ったこの言葉。さっきまで話すことなんてできなかったのに、何故話す事が出来るようになったのだろうか。いや、今はそれを言っている場合じゃない。

「あ?なんだよ?」
「えと、ボク・・・。」
「ん?お前、人間の魂か?」

様子を窺うように、小さな光はボクの周りをまわってからそう言った。
その言葉にボクは少し焦りながらうなづいた。

「何で人間の魂がおれの中にいるんだよ?」
「え、その・・・それより君こそ誰?」
「はぁ?見てわからないか?」

とても乱暴な言い方をするこの光の球は、呆れたようにこう言った。

「おれは熊の縫い包みだ。」
「え?ってことは・・・。」
「何?お前、縫い包みに魂なんてないって思ってたのか?ったく・・・これだから人間は・・・。」
「ご、ごめんなさい・・・。」
「別にいいよ。無情な人間どもなんて、何度も見てきた。」

無情な・・・どういう事だろうか?それを、この熊の縫い包みに尋ねてみた。
彼は縫い包みとしてこの世に生を受けた。黒い熊の縫い包み。目の色が赤く、どこかしら不気味に見えた。そのせいもあるのか、このおもちゃ屋でずっと売れ残っていた。しかし処分もされず、ただただこのおもちゃ屋に立ち寄ってくる人たちの痛々しい視線や、買わない方がいいとの声に耐えていたのだという。それに、他のおもちゃにも嫌われていた。よく見れば、彼の近くには他の縫い包みがいなかった。同じ場所に置かれているにもかかわらず、数センチ離れた場所に縫い包みたちが固まっていた。

「それにおれはこんな喋り方だろ?だから誰もよりつかねぇんだよ。そんでさ、新しいやつはどんどん入ってきて、その新しいやつらはすぐに人間に買われていく。おれには見向きもしない。最初はつらかったけど、今はもう慣れっこさ。」

長々と話した熊の縫い包みは、半ば悲しそうな動きをした。本当は、誰かに買ってもらわれたいんだと思った。

「で、改めて言うけど、お前はなんだよ。何でおれの中に入ってきた?」

質問されたので、ボクは事情を事細かに伝えた。

「なぁるほど・・・お前は赤ん坊だったのか。話せるようになってんのは、おそらく俺の中にいるからだな。俺の中に入ってきちまったのは、その弟に会いたいって願いがあったからだ。」
「え、どうしてそこまで・・・。」
「前にも一度会ったんだよ。だがな、そいつの場合まだ生きてたんだ。だから、死ぬんじゃねぇって言って励ましてやったら、元気出して俺から出て行ってくれたよ。」
「そっか・・・だからわかったのか・・・。」
「でも、あんたの場合はすでに死んだ身。その状態で会いたいってのは、無理かもしれないな・・・。」

その言葉を聞いて、ボクは落ち込んだ。ボクはもう・・・弟に会う事は出来ないんだ。

「だが、一つだけ手はある。このままおれに憑依すればいい。」

熊の縫い包みはそう言った。でも、問題があった。憑依しても、弟が買ってくれる可能性は1%も見たないってことだ。ほとんど不可能に近い。そして、もうひとつ問題があった。それは・・・ボクが憑依すれば、彼は消えてしまうという事。つまり、死んでしまうという事。

「き、消えちゃうの?」
「あぁ・・・一つの体に、2つの魂がいる事は許されない。」
「じゃ、ボク・・・ここを出てくよ・・・。」

彼を消すことになるなら、ボクは一生浮遊していてもかまわない。弟に会う事は諦めよう。
そういうと、彼はこう怒鳴った。

「何言ってんだよ!?弟に会いたいんじゃないのかよ!?確かに可能性はめちゃくちゃ低いさ!!でもよ、奇跡ってもんを信じてみろよ!!おれはここ数年、ずっとそうやって奇跡を信じ続けてきた!!今だってその可能性を信じてる!!!だから、お前も信じろよ!!!」

とても必死な言い方だった。その言い方は、彼の本音を含むかのようだった。

「・・・・・・。」
「おれはこのまま、奇跡を信じ続けたい。でも、本当に奇跡を信じなきゃいけないのが、目の前にいる。だから、お前は俺の遺志を継いでくれないか?」
「え?」
「弟に会うために、買ってもらわれたいっていうおれの遺志のために。たのむ・・・。」

彼はもう決めたんだ。ボクに遺志を託して消える事を。

「わかった。ボク、キミに憑依する。それで、弟に会えるなら・・・。」
「そして、おれの遺志もついでくれよ?じゃなきゃ、困る。」
「うん、わかってるよ。」
「よかった・・・そんなら安心しておれは消える事が出来るよ。」

そういうと、彼はだんだん薄れていった。消え始めたのだ。

「そんじゃ、弟に会えるよう、願ってるよ。」
「うん、君の遺志もちゃんと継いだからね!!」
「あぁ、ありがとな。」

彼はそういったっきり、姿を消してしまった。そう、完全に消えてしまったのだ。そして、ボクはこの熊の縫い包みに憑依する事になった。弟に会うために。例えその確率が限りなく低くても・・・。

そして、その3年後。ボクは未だに処分されることなくこのおもちゃ屋に居座っていた。奇跡を信じて。
すると、一人の男の子がボクに近付いてきた。ボクを見つけるなり、手を近付ける。届かないながらも必死に手を伸ばし、ボクをつかんで両手で抱いた。

「おかあさ~ん!ぼく、これがほしい!!」

男の子は言った。

「それがいいの?でも・・・何か不気味ね・・・浩太郎、それはやめなさい。」
「え~!やだぁあ!これがいいの!!これがいいの!!」

浩太郎・・・母親はそう言った。

そうか、この男の子がボクの弟・・・。
やっと、やっと会えたんだ・・・。
嬉しいよ・・・。

「だって、このこぼくのことみてたもん!それに、ぼくとあえてうれしそうにしてるもん!!」
「でもねぇ・・・。」
「おねがい!かって!ぼくこのこじゃなきゃいやだ!」
「・・・しょうがないわね・・・じゃ、誕生日はその縫い包みでいいわね?」
「うん!ありがとう!おかあさん!」

弟は、ボクを力いっぱい抱きしめた。ちょっと苦しいけどね。

その後、ボクにクロアと名付け、それはそれは大事にされた。小学生に上がった時、押し入れに入れられちゃったけど、でもボクは弟――こうちゃんを見守っていたってわけ。
まぁ、ボクが双子の兄だなんて、こうちゃんには到底言えないんだけどね。

今?・・・今はね・・・。

「クロア、どうしたのさ?窓から外を見つめちゃってさ。速く任務に行くよ。」
「あ、うん!わかったよ、こうちゃん!今行く!」

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まぁ、クロアにこんな事がありましたよと・・・。
最初頭に浮かべてたやつとだいぶ違っちまったけど、最初浮かんだやつがどういう展開にしたか忘れたからいいやww

とにかく、そんな感じ。
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