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【ポケモン小説「絆」】Story15:ルミコとラルドとルシェードと。

ポケットモンスターハートゴールド・ソウルシルバー ―絆―
Story15:ルミコとラルドとルシェードと。




セツナの住んでいるジョウト地方から、北の方にある地方――シンオウ地方。その地方のワカバタウンでルミコは生まれた。ワカバタウンはその名の通り、若葉が息吹く場所と言われている。小さな小さな町で、まるで、毎日がゆっくりと時間が進んでいるかのよう。冬になると雪がちらちらと舞い、フタバタウンの一部を白く染めた。その雪はしばらくずっと溶けずにいて、地面の上に残っている。空が晴れると、その雪はまるで多くのダイヤモンドがキラキラと輝いているよう。静かな町だが、こういう情景を見せてくれるので、より一層癒されるのだ。

「おかあさーん!みてみて!またゆきつもってるよぉー!」

外に飛び出して雪遊びをする小さな女の子。この少女こそがルミコだ。当時の年齢は5歳。まだまだポケモンを連れて旅に出る事は出来ない。ポケモンを手にする事が出来るのは、10歳になってからだ。
そんなルミコの後から追うように、家から母親がやってきた。

「もう、ルミコ、あんまりはしゃがないの。今日はホウエン地方のユウ兄ちゃんが来る日でしょ?遊び疲れて眠っちゃったら意味がないでしょ?」
「あ、そうだった。ゆきがきれいだったから、わすれちゃってたよ♪」

そう言って、幼く純粋な笑顔を母親に見せる。その笑顔を見て、母親もにっこりと笑った。
ホウエン地方に住んでいる「ユウ兄ちゃん」というのは、時々このシンオウ地方に遊びに来る人物で、ルミコが3歳の頃に出会った少年だ。と言っても、年齢はとても離れていて、10歳も離れていた。つまり、ユウは現在15歳というわけだ。少年から青少年へあがるような年である。
そんなユウがこの日、わざわざやって来てくれるのである。ホウエン地方からシンオウ地方へ行くのには、飛行船や船などを使って何度も乗り換えなければならないというのに。おそらく移動費は親から借りているのだろう。それか、自分がそれだけの移動費を持ち合わせているかだ。

「あ、そうだ!」

ルミコは何かを思い出したかのように、小さな足でトテトテと走り出しワカバタウンの外に出ようとした。

「ルミコ!何処へ行くの?そっちは野生のポケモンが出て危ないから戻ってきなさい?」
「だいじょうぶだよ、おかあさん!くさむらのなかにはいらなきゃいいんだからぁ~!」

そう言って町の外へと走って行ってしまった。
ルミコは外に出て左へ曲がる。すると、木々がだんだん増えていき鬱蒼としてくる。人工的に道が作られているので、迷う事はないが小さな体のルミコはきっと迷いそうだ。
木々で作られたトンネルをくぐると、光がパッと差し込んでくる。多少暗い景色が明るくなるので、一瞬目をつぶってしまったがすぐにその明るさに慣れた。目の前に広がるのは大きな湖。気持ちを表す湖で、その名前はシンジ湖という。水に恵まれたシンオウ地方を象徴する湖の一つで、不思議な伝説があるという。中央の小島から、湖内部の洞窟へ入る事が出来る。しかし、船もないしましてや連れて行ってくれるポケモンもいないので、中央の洞窟に行ける事は不可能だ。
ちなみに、湖には他にもリッシ湖とエイチ湖の2つの湖がある。その2つもシンジ湖と同じ不思議な伝説があるのだとか。しかし、それを知るのはまた別のお話。
ルミコは、雪の積もった草原を走り、何かを積んでいるようだった。よく見るとクローバーだった。しかし、三つ葉の物ばかり。おそらく、四つ葉を見つけるため積んだはずのものが三つ葉だったのだろう。
しばらく積んでいると、ようやく四つ葉のクローバーを発見した。しかし、見つけた場所は、ポケモンが生息していそうな草むら。ポケモンを持っていないルミコには、恐ろしくてなかなか近付けない。だが、せっかく見つけたのだ。それに、今なら野生のポケモンが出てくる気配はない。そう思ってゆっくりとゆっくりと、その四つ葉のクローバーに近付いて行く。
すると・・・

―ガサガサ!

草むらが揺れた。そして、それと同時に野生のポケモンが顔を出したのだ。驚いたルミコはとっさに悲鳴を上げて逃げようとしたが、その勢いで尻もちをつき立ち上がれなくなってしまった。同時に野生のポケモンは、ルミコの悲鳴に驚いたせいか、強力な歯をむき出しにして襲ってきてしまった。
誰か助けて!・・・そう思いながら、悲鳴を上げ続けるルミコだったのだが・・・

「ソニン!かまいたち!」

遠くから聞き覚えのある声が聞こえ、そして同時に風の舞う音が聞こえたかと思うと、光の刃がその野生のポケモンめがけて飛んでいき直撃した。野生のポケモンはその衝撃で、遠くの方へと吹っ飛んでしまった。

「やっぱり、ここにいたか・・・大丈夫かい、ルミコちゃん?」

災難は去ったものの、未だ怯えながらも声が聞こえる方に顔を向けるルミコ。そこには、白くて髪のような形に見える帽子をかぶった少年――ユウと、その彼の手持ちであるポケモンがそこに立っていた。その姿をじっくり見た後、ルミコはユウに泣きながら飛びついた。そして、何度も何度も「こわかったよぉ」と泣きじゃくる。そんなルミコに「うんうん」と頷きながらも、優しくルミコの頭をなでてあげた。
ようやくおさまったのだが、未だすすり泣いている。ユウはルミコを背負い、シンジ湖から出ていき、その後を彼のポケモンが付いて行った。そして、木々のトンネルをくぐり抜けワカバタウンへと戻ってきた。そこに、ルミコの帰りを待っていた母親が、家の前で立っていた。

「あ、ユウ君!」
「お久しぶりです。シンジ湖にいたので連れてきましたよ。」
「あらあら、ごめんなさい・・・。」

背負われているルミコは、移動している間に泣き疲れたのか眠ってしまっていた。涙の跡をくっきりと残したまま、スースーとリズムの良い寝息を立ててユウの背中で眠っている。
ユウは先ほどあった事を、正直に言わなかった。「ポケモンに襲われそうになっていた」と話せば、母親はショックを受けるに違いないと思ったからだ。だから、帰り道に迷っているところを見つけて連れてきたと、そう伝えておいた。
家の中に入り、ルミコをソファーに寝かせ、その隣にユウが座った。母親は、ユウにお茶を出して、テーブルを挟んだ反対側のソファーに座った。

「まったく・・・せっかくユウ君が来たってのにこの子は・・・。」
「仕方ないですよ。まだ5歳ですし。」
「成長したところは、前より活発的になったってところね。」
「確かにそうですね。」

そうやって会話してると、ルミコが「うぅん」とうめき声をあげて目を覚ました。その時に、ニコニコと笑っている母親とユウ。何故自分が笑われているのかわからなかったが、とにかく寝起きのままルミコも2人に笑顔を返した。「ん~」と伸びをして、ユウのモンスターボールから出ているポケモン、「ソニン」というニックネームのアブソルのそばに寄った。ふさふさとした毛並みに触って、その感触でまた眠くなりそうになったのだが、首を何度も振って顔を見据えた。
ルミコはソニンに「久しぶりだね」と言って話しかける。その言葉に反応したのか、ソニンは優しい表情でルミコの言葉に返答をした。

「ユウ兄ちゃん!ソニンとおそとであそんできていい?」
「うん、いいよ。ソニンと一緒なら野生のポケモンが出てきても、対抗できるしね!」
「うん!じゃ、いってきまーす!」

ルミコは元気よく言い、ソニンと一緒に家の外へ走って行った。家の外に出ると、地面に積もった雪は太陽に照らされキラキラと光っている。その雪をかき集めて、大きい球と小さい球を作り、大きい球の上に小さい球を乗せて雪だるまを作った。顔は家の近くに落ちている葉っぱや木の実で作り、胴体に着ける手は小さな枝を刺して完成させた。しかし、大きさはさほど大きくはなく、ルミコの身長の半分以下の大きさしかできなかった。大きい雪だるまが出来なくて少しうなだれていたが、小さい雪だるまもこれはこれで可愛いからいいや!と思い元気を取り戻す。
今度は、ルミコがソニンから姿を消すようにと走っていき、ソニンが慌ててルミコの後を追うと、突然雪の球がソニンに当たった。何事かと思って雪の球が飛んできた方に顔を向けると、ルミコが楽しそうにはしゃいでいた。ソニンは「そこにいたのか」と言うように息をつき、ルミコがまた雪の球を投げてきたのでヒョイッとかわした。そして、こっちもというように前足で雪が積もっている場所を蹴り、ルミコに雪をかけた。

「ソニン~!ゆきがっせんなんだから、ゆきをかけるのはんそくだよ~!」

と言いつつも、とても楽しそうにするルミコ。
そこに、「楽しそうだね、僕もまぜてくれないかい?」とユウも家から出てきた。そして、自分たちだけじゃ迫力ないからと言って、ユウは自分の手持ちのポケモンをみんなモンスターボールからだし、先ほどよりも楽しく雪合戦を楽しんだ。
ちなみに、出したポケモンはラグラージのミウ、オオスバメのソラ、マッスグマのムゥ、ペリッパーのメルである。

「ねぇねぇ~!カイはださないの~?」
「ルミコちゃん、よく名前覚えてたね!でも、カイはここの庭じゃ小さすぎるんだよ。」
「じゃ、シンジ湖にいこうよ!あそこならだいじょうぶでしょ?」
「またシンジ湖に行くのかい?野生のポケモンがまた飛び出してくるよ?」
「ユウ兄ちゃんがいるからだいじょうぶでしょ?」
「まったく、仕方ない子だな。」

ユウは言いながらルミコの頭をなでた。
一度家の中に戻り、ルミコの母親にシンジ湖に行ってくると伝えた。そして、ユウとルミコが手をつなぎその後ろをポケモンたちがぞろぞろと付いて行った。
町の外に出て、林を通り、森のトンネルを抜けてシンジ湖に辿り着く。
ふとルミコは、何かを思い出したかのように走り出した。先ほど四つ葉のクローバーを見つけたものの、取るのを忘れていたのを思い出したのだ。そして、自分が見つけたところの場所まで近付く。またポケモンが出てきてしまうと危ないので、ユウもルミコの後に続いた。

「たしかこのへんに~・・・あ、あった!」

そう言って、見つけた四つ葉のクローバーを摘み、ユウに渡した。

「ユウ兄ちゃんにあげたかったんだ♪」
「そっか、だからさっきシンジ湖にいたんだね、ありがとう。」
「うん!・・・あ、そだ、カイだしてくれるんだったね!」
「そうだったね!出ておいでカイ!」

そう言ってモンスターボールを投げると、中からとても大きなポケモンが現れた。大きさは4~5mほどの大きさ。青いボディに赤いラインが入っている。

「わぁ~!カイだぁ~!ひさしぶり~!」

ルミコが言うと、カイはゆっくりと頷いた。
ちなみに、カイは伝説のポケモン「カイオーガ」。大雨を降らせる能力で、海を広げたといわれているポケモン。ユウはこのポケモンをホウエン地方のルネシティという町にある、目覚めの祠でゲットしてきたのだとか。何故そこに伝説のポケモンがいたのかはユウのみぞ知る。
カイは岸辺に近付き、手を伸ばした。背中に乗ってもいいという合図だ。その合図にルミコは嬉しくなって、すぐさまカイの上に乗った。すると、他のポケモンも次々と乗り出し、ラストにユウもカイの上に乗った。呆れたカイだったが、乗ってしまったからには仕方ないと思い、湖にある小さな小島を中心にして、ゆっくりと回り出した。その速さがちょうどいいのか、そよそよと心地よい風が肌を掠めていった。
そうこうしている間に、辺りはだんだん暗くなっていった。そろそろユウも帰るころである。ポケモンたちをモンスターボールにしまい、いったんルミコの家に戻り、帰るまでの準備をする。その途中に、ユウはカバンからポケモンの卵を取り出した。真っ白な卵で、1か所だけ黒い楕円形の模様が付いている卵だった。

「これ、なんのたまご?」
「それは、生まれてからのお楽しみだよ。」

ユウはそう言って、ルミコにその卵を手渡した。すると、卵が中でもぞもぞと動き出したのだ。ルミコはそれに驚き、卵を落としそうになったが、何とかうまく抱きかかえしばらく卵を見つめる。そして、卵の動きはだんだん大きくなりひびが入る。そのひびが大きくなったかと思うと、卵が光り出したのだ。まぶしくて目を開けていられずに、しばらくルミコは眼を閉じていた。
数秒光り続けた後ようやく消えていき、そのたびにルミコが目をゆっくりとあけると、そこには小さな小さなアブソルがルミコをじっと見つめていた。そして一声「きゅー!」と鳴いた。

「わぁ~!アブソルだぁ~!!!わ~い!わ~い!」

ルミコは生まれたばかりのアブソルを、高く持ち上げて大いにはしゃいだ。そのはしゃぎように、小さなアブソルも一緒にはしゃいだ。そして、自分の胸に持って抱き、ユウに向き直る。

「ユウ兄ちゃん、ありがとう!だいじにするね!」
「うん、どういたしまして!じゃ、ニックネームつけないとね。」
「あ、そっか、何にしようかなぁ・・・ん?」

ルミコは、そのアブソルを見て何かに気が付いた。普通のアブソルと目の色が違ったのだ。普通のアブソルの目の色は、赤くルビーのような色なのだが、このアブソルの目は、鮮やかなエメラルドグリーンの色をしていたのだ。

「ユウ兄ちゃん、このこのめのいろみて!」
「どれどれ~・・・あ、綺麗なエメラルドグリーンだね。こんなこと初めてだ!」
「このいろ、エメラルドっていうの?じゃ、そこからとって『ラルド』ってなまえにする!」
「いい名前だね!」
「うん!よろしくね、ラルド!」

そう言って再び持ち上げてはしゃぐと・・・

『よろしく♪』

「ラルド」と名付けられたアブソルから、とても幼い少年の声が聞こえた。

「え?いま、しゃべった?いま、しゃべったの?ユウ兄ちゃん!いま、ラルドがしゃべったよ!」
「そうなのかい?僕には聞こえなかったけど・・・。」
「でも、しゃべったよ!『よろしく』って!」

必死に伝えるルミコに、ユウは少し困ってしまったが「きっと、ルミコちゃんにしか聞こえないんだね。」と笑顔で伝えると、ルミコは「そっかー!」と言って納得した。
ちなみに、ルミコは野生のポケモンとも話せる事だというのも、後々判明する事になる。

「これからずっと一緒だよ!ラルド!」

ラルドはルミコににっこりと笑いかけ、嬉しそうに頷いた。
それからというもの、ルミコはラルドといつも一緒に行動するようになった。食事の時も、遊ぶ時も、寝る時も。しかし、小さな体のラルドは、なかなか大きくならない。大きくはなって入るのだが、極端に大きくはならなかった。まるで、人間が何年もかけて大きくなるのかのように。
でも、ルミコは気にしなかった。大きくならないならそれはそれでいい。これがラルドなんだと。
そんなラルドとともに、ルミコは成長していった。そう、つまりいっときも離れずに、ずっと一緒にいたのだ。
しかし、別れてしまうことになるとはこの時全く思ってもいなかった。


ルミコがトレーナーになり、ラルドとともに旅を始めて、各地の街のジムを回っては挑戦をした。敗北しても勝つまであきらめなかった。それを繰り返し、リーグにも出向いた。その結果はまだ内緒である。
リーグが終わった後、ルミコはキッサキシティという場所から船に乗り、バトルゾーンと呼ばれる場所へと出向いた。何故、バトルゾーンに出向いたのかというと、そこにはハードマウンテンという山があり、その山には伝説のポケモンがいるという噂を聞いたからだ。ならばその目で確認して、出来ればゲットしてこようと思いそこに出向いたのだ。
船が付いた場所はファイトエリア。ポケモン勝負の場所と言われている。そこから北へ向かうとサバイバルエリアで、修行の準備の場と言われている。そして、そこから東へ向かい、226番水道へ出向く。そこをしばらく歩き、水面を「なみのり」で進んでいくと、次の道路へと出るゲートが見え始める。そのゲートは岩壁に囲まれ、向こう側の道路がどうなっているのか判断が出来なかった。とにかく、通ってみるしか方法はないのでそのまま歩いて通りゲートから出ると、砂嵐が激しく吹雪いていた。砂が目に入らないように歩いて進むが、今いる場所からハードマウンテンに出向くのは不可能だと見た。そこから南に進みながら、行き方を模索するように歩く。
しばらく見ながらこの道を歩いて行くと、どうやら自転車が必要になっているようだ。カバンから折り畳みの自転車を取り出し、ところどころにある細い渡り木の上を自転車で通って行く。そして、砂嵐がやんだと思えば、今度は灰が降ってくるではないか。しかし、そこまでひどく降っていはいないので、灰に関してはたまに払うぐらいで十分のようだ。
ハードマウンテンのふもとにつき、自転車を降りて折り畳んでカバンにしまい、ラルドをモンスターボールから出す。このあたりからも野生のポケモンがちらほらと見えているので、すぐに対応できるようにと出したのである。といっても、野生のポケモンだけではなく、この山に修行しに来たトレーナーもちらほらといた。そんなトレーナーたちを蹴散らすように、バトルをしては勝利を繰り返し、上へ上へと歩いて行った。
そして、山の入口らしき場所へとたどり着いた。看板には「噴火注意」と記されている。入口の近くに、マグマがたまっている場所を見るあたり、確かに噴火しているのだろうと推測するとこが出来た。それに、ふもとよりも暑苦しい。山全体が熱気に覆われて、おそらく山の中はサウナ状態になっているに違いない。

「噴火注意・・・か、どうするラルド?」

『止めても行くんだろ?』

「当然だよ!だって、伝説のポケモンだよ?この目で拝みたいじゃない♪」

『それもそうだな・・・。』

「よ~し!最深部まで頑張っていくぞぉお!」

言いながら勢いよく入り口にはいるルミコ。それに続く、アブソルのラルド。中に入ると、予想通りに暑苦しい空気だった。サウナとまではいかないが、それに似たような感覚に襲われる。しかし、そんなことも気にせず、ルミコは奥へ奥へと進んで言った。すると、中にもトレーナーはちらほらといた。バトルを繰り返し、何ともないように勝利を決めていく。おそらく、バトルに負けるトレーナーたちは「一体何者なんだ?」と思ったに違いない。
しばらく奥へ進むと、何やらまた入口のようなものが目の前に見えた。もしかすると、この先に伝説のポケモンがいるのかもしれない。そう思って、恐る恐る中に入ってみると、そこは広々と空いた空間だった。その空間に、地面の色と事なる岩が円のように埋め込まれていた。しかし、それ以外何もなかった。

「なーんだ・・・いないのかぁ・・・意気消沈だなぁ・・・。」

『確かに、テンションは下がるな・・・。』

「ま、伝説のポケモンだし、きっとどこかにいるよ!」

『あぁ、そうだな・・・。』

そうやってラルドと会話をかわし、その空間から出ようとした時だった。

『・・・何者だ・・・』

声が聞こえた。ラルドかと思ったが、ラルドの声とはあまりにも違いすぎる、とても低い声だった。
ルミコはその声を頼りに辺りを見回すのだが、姿が全く見当たらない。すると、岩陰から何かの足が見えた。それに気付いたルミコは、すぐにそちらの方に目をやる。そして、岩陰から大きなポケモンがのっしのっしと足音を立てて現れた。そしてもう一度「何者だ」と言った。どうやら、声はこのポケモンから聞こえるようだ。

「・・・何者だって言われても・・・あなたこそ何者なの!?もしかして・・・伝説のポケモン?」

『我が名はヒードラン。人間たちは我を伝説のポケモンと言っているみたいだが、よくは知らん・・・ん?』

ヒードランと名乗ったポケモンは、ルミコが「何者だ」という問いかけに的確に返答をしている事に気が付いた。

『お主、我の言葉が分かるのか?』

「え・・・あ、そうだけど・・・。」

『面白いやつだ・・・人間の中にもそういうやつがいるんだな・・・。』

そう言って、ヒードランは一度眼を閉じた。そして、目をカッと見開きこう言った。

『よし!お主の力を試させてもらう!』

突然言ったヒードランの言葉に、ルミコは驚いたが「ディアルガやパルキアの時も確かこんな感じだったなぁ」と感じ少し構えた姿勢を取った。

「じゃ、私が勝ったら仲間になってくれる?」

『いいだろう・・・。』

「交渉成立!バトル開始だね!いっくよぉ~!」

ルミコはラルドに「少し下がっててね」と伝え、カバンからモンスターボールを取り出し、「出ておいで!カイン!」と叫びながら高々と投げた。出てきたのは、ポッチャマの最終進化系エンペルト。「みず/はがね」タイプのポケモン。くちばしから伸びている3本の角は、強さの象徴で、リーダーが一番大きいといわれている。といっても、野生のエンペルトを見た事がないので、実際大きいといわれてもどのくらい大きいのかわからない。そんな「カイン」と名付けられたエンペルトは、目の前のポケモンを見据えかなり驚いている。「こいつもポケモンなのか!?」とルミコに訴えている。その訴えに、無言で頷き、カインに指示を出す。
指示した技は「アクアジェット」。素早さが相手よりも遅くても、先制攻撃をする事が出来る技だ。大量の水を体にまとい、技の名の通りジェットのように進み、ヒードランに向かって勢いよく激突した。結構な水が、ヒードランにバシャァとかかり、カインが激突した勢いもあるのか、後ろに多少引きつらそうな表情を浮かべる。どうやらヒードランは炎タイプのようだ。ならばと思い一気に押して勝利しようと思い、「ハイドロポンプ」を指示した。しかし、ヒードランも負けてはおらず、カインに向かってとても恐ろしい顔を向けた。これは相手の素早さを2段階下げる技「こわいかお」だ。カインはその「こわいかお」に気圧され、ハンドロポンプを出す前に後ろに引いてしまい、放った技は岩壁にあたり勢いのせいで壁が多少なりと砕けた。その隙を見たのか、ヒードランはカインに近付いて、大きな口で噛みついてきた。もがくカインを見ていると、あの技は「かみつく」ではなく「かみくだく」と判断する。「かみくだく」は鋭い歯で相手をかみ砕いて攻撃し、防御力を下げることがある技だ。カインは鋼タイプを持ち合わせているので、防御力が多少なりと下げられても何とかなるのだが、あのもがきようからしてみてヒードランの「かみくだく」は相当な攻撃力に違いないとみた。だが、それをうまく利用してもう一度カインに「ハイドロポンプ」を指示した。しかも、そのハイドロポンプを口の中に噴射するようにと。カインはその指示通り、噛まれた状態から上手く体をひねり、口の中に向かってハイドロポンプを発射した。その勢いで、カインはヒードランの「かみくだく」から逃れる事が出来た。ついでにヒードランには効果は抜群だ。ハイドロポンプの勢いで、岩壁に激突したようだ。その勢いが強かったのか、再び岩壁が砕ける。
砂埃が立ちそれが消えると、ヒードランはあおむけに倒れていた。まだ攻撃してくるのかとしばらく構えていたが、あおむけの状態からピクリとも動かないので、ひとまずカインをモンスターボールに戻しカバンにしまった後、恐る恐る近付いてみた。

「え、えと・・・大丈夫・・・?」

『おそらくな・・・しかし驚いた・・・こんなにも強い者が現れるとは・・・。』

「強くないって~!たまたまだよ!・・・で、勝敗は、私が勝ちって事でいいよね?」

『あぁ・・・お主の仲間となろうぞ・・・。』

「やった!じゃ、ゲットさせてもらうね!」

そう言ってカバンから取り出したのは市販で売られているハイパーボール。それを軽くヒードランに投げると、こつんとあたりハイパーボールの中に入っていった。そして、3回ぐらいぐらぐらと動き、ぴたりと止まった。つまり、ヒードランをゲットしたのだ。

「やった!ヒードランをゲットしたよ!えっと、ニックネームは・・・ドラン!」

『ルミ・・・凄い単純だな・・・。』

「もう、単純なのは分かってるんだから突っ込まないでよラルド・・・。」

そう会話を交わし、「ドラン」と名付けたヒードランはポケモンセンターに設置してあるパソコンへと転送された。

「よし、帰るよ。」

そう、ルミコが言った時だった。突然山全体に地響きが起こり始めたのだ。その揺れはだんだん大きくなり始め、この部屋にいくらかのひびが入った。早く逃げようとこの部屋から出て行こうとしたのだが、揺れが大きすぎて前に進む事が出来なかった。すると、この部屋の地面が割れはじめ、下に溶岩が見え始めた。噴火すると思い、ラルドをモンスターボールの中にしまおうとした。しかし・・・

「あ・・・!」

大きな揺れのせいで、ラルドのモンスターボールを落としてしまったのだ。すかさず取りに行ったのだが、モンスターボールは揺れと同時に動いてしまい、溶岩の見えた割れた地面の中へと落ちていってしまった。

「ど、どうしよう!ラルドのモンスターボールが!」

『ルミ、今はもう取り戻せない!一刻も早くハードマウンテンから抜け出すんだ!!』

「う、うん!」

しかし、揺れが大きすぎて上手く移動する事が出来ない。これはかなり危険な状態だ。この揺れだとおそらくハードマウンテンは噴火をするだろう。そして、そのせいでこの部屋の空間も崩れ始めている。ヒードランと戦ったせいもあるのか、ひびが入り、砕けた場所からガラガラと崩れ始め、それが全体へと回ってしまっている。
大きな揺れでさえもうまく体制を整え、この空間から出ようとした時だった。ルミコの頭上に、大きな岩が落ちようとしていたのだ。それに気付いたラルドは、「危ない!」と叫びつつ、ルミコに思いっきりタックルした。それに弾き飛ばされたルミコは、ズサーと地面に不時着した。未だに揺れは大きく揺れ続けている。そして、大きな岩が凄まじい音を立てて落ち、ラルドはその下敷きとなった。

「ラルド!!!待ってて、今カインのメタルクローで・・・。」

『ルミ!私の事はいい!早く逃げてくれ!』

「いや!ラルドを置いて何か行けないよ!!ずっと・・・ずっと一緒だって言ったもの!!!」

『ルミ・・・。』

「だから絶対助ける!!!」

しかし、助けている暇など到底なかった。揺れはさらに大きくなっていく。

『・・・いや、もう時間がない・・・早くここから逃げてくれ・・・。』

「いや!絶対にいや!ラルドも助けて一緒に行くんだから!!」

『・・・そうか、なら仕方ない・・・。』

下敷きとなったラルドは、何かの力を解放するかのように体を光らせた。そして、その光をルミコに注ぐ。するとどうだろう、突然ルミコが浮遊しだしたのだ。この力がどんな技なのか、ルミコには分かった。

「ラルド・・・これって『テレポート』?」

問いかけたルミコに、ラルドはうなづく。しかし、普通のアブソルではエスパータイプの技の「テレポート」は絶対に覚えることなど不可能のはずだ。何故、そんな技を今ラルドが使っているのだろうかと、ルミコは激しい疑問を抱いた。

『今しか使えないこの技で・・・ルミを外へと誘おう・・・。』

「え、だ、だったら、ラルドも一緒に!」

『残念だが、私は行けない。もともとテレポートなど使えない私が使っているのだ。移動させる事が出来るのは、人間一人のみだ・・・。』

「そんな・・・いやだよ・・・いやぁあああ!」

『ルミ・・・今まで一緒にいてくれてありがとう。私は楽しかったよ。』

「いや・・・いやぁ・・・ラルドぉ・・・!」

『さよなら・・・ルミ・・・。』

ラルドがそういうと、ルミコは一瞬にして姿を消した。つまり、ハードマウンテンから外へと抜けだしたのだ。そして、瓦礫の下敷きになったラルドは、何か名残惜しそうな表情を作り、ゆっくりと目を閉じた。瞬間、部屋の空間は完全に瓦礫で埋まってしまった。


外から見たハードマウンテン。ゴゴゴ・・・と大きな音をたてて揺れている。その揺れは、他のエリアにも影響していた。そして、噴火するものかと思われたハードマウンテンは、噴火する事もなくただただ大きな揺れから小さな揺れへと変わり、次第におさまっていき、やがては完全に止まってしまった。あの揺れは一体何だったのだろうか?考えてみれば、あそこはヒードランのすみかと言ってもいい場所。そんなヒードランがいなくなってせいで、一部が崩れてしまったのであろう。
そんなハードマウンテンから抜け出し、ラルドの奇跡のテレポートでリゾートエリアのポケモンセンターの前で座り込んでいるルミコの姿がそこにあった。涙をあふれんばかりに流し、かすれた声で泣いていた。周りの人が遠くから覗きこんでいたが、そんなものは気にも留めなかった。ただただ、小さい頃からずっと一緒にいたラルドを失ったという悲しみに、ルミコは浸っていた。
しばらくすると、突然カバンの中がほんのりと光り出した。一体何事かと思い、あふれる涙をぬぐってからカバンをあげてみると、ほんのりと光る小さなポケモンの卵が入っていたのだ。光る卵をカバンから取り出し膝に置くと、上の方からパキパキとひびが入っていき、そして、そのひびから光があふれた。とても眩しいものだったが、ルミコはその光を見つめ続けていた。
輝き続けた光はやがて消えていき、ポケモンの形が見えてくる。完全に光が消えたとき、そこには小さな小さなアブソルがルミコの膝に座っていた。そして「きゅー!」と一声あげて鳴いた。尻尾を振って目を輝かせながらルミコの事を見つめていた。その瞳は、ラルドと同じエメラルドグリーンの瞳だった。ラルドが戻ってきたのかと思ってよくよく見てみたが、エメラルドグリーンの瞳は左目だけだった。右目は通常のアブソルの赤い瞳。それを見たルミコは、少しがっかりして現実を見た。そうだ、ラルドはもういないんだ・・・。
しかし考えて見れば、片方だけがエメラルドグリーンの瞳なのだから、おそらくラルドの子孫なのかもしれない。ならば、ラルドに似た名前を付けてあげよう。そう思い、しばらくニックネームを考えた。そして、小さなアブソルを抱き上げてこう言った。

「決めた・・・あなたの名前はルシェード。これからよろしくね。」

言いながら軽くほほ笑んだルミコに、「ルシェード」と名付けられたアブソルは「きゅー!」と元気よく鳴いた。


続く。
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