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小説「-Ib-」Episode2

-Ib- Episode2


目の前の絵画に飛び込んだイヴは、まるで本当の水中に入ったかのような大きな水の音を立て中に入った。しかし、その音のリアルさと、一瞬の冷たさそして、水に入る感覚が襲い、イヴは目を閉じて息を止めた。だが、少し息をしてみると、やはり水中ではないことに気が付き、ゆっくりと目を開ける。
イヴがいた場所は階段だった。そして、相も変わらず薄暗い場所。階段を下りると、長い廊下があった。その壁の左には赤い絵画、右には青い絵画があった。どこへ行ったらいいのかわからないので、ひとまず左側の道に行った。
しかし、左側は行き止まりだった。その代わりに青い扉。イヴはその扉のノブをつかみ回してみたが、鍵がかかって開かなかった。もう一度戻ると、先ほどあった階段がなくなり、壁になってしまっていた。つまり、もう元の場所へは戻れないという事だ。どのみち、出入口が塞がっていたし、こちらに出口があると信じて飛び込んだのだ。戻れなくても、出口にはたどり着けるはずだ。
今度は右側の道を歩き出した。長く続く廊下の色は次第に濃くなり、そして文字が見え始めた。


                                          で
        お                                          い              お
                  で              い                        で            い
              い
  で                        お              お



青光りするこの「おいで」の文字が不気味すぎた。しかし、気にしてては前に進まないので気にしない方向で奥へ進む。
その先に先ほどと同じ青い扉と、赤いバラが活けられたテーブルがあった。イヴはそのバラをとり、しっかりと握った。どうやらトゲはついていないようだ。
テーブルをどかし、青い扉の前にたってノブを回すと鍵は開いていた。そうっと開き、中に入ると個室だった。目の前にはいかにも不気味な絵画が飾ってあった。青い髪に白い服。表情はとってもにっこりとして穏やかに見えるが、この薄暗さではこの表情はより一層不気味に見えてくる。その証拠といえば、絵画からその青い髪の毛がちらほら出ていたことだ。先ほどの非現実的な事から言えば、怖がるところだが、ほんの少し慣れた。
そこに書いてある貼り紙にはこう書いてあった。

『そのバラ ?ちる時 あなたも?ち果てる』

漢字が読めないのでどういう意味なのかは分からないが、バラに関したことだという事はわかった。『あなたも?ち果てる』というのだから、このバラがなくなった時、自分の命もなくなるのではとイヴは考えた。つまり、バラが命の根源。このバラを枯らしてしまったら自分も死ぬという事だ。そう思うと、このバラは何があっても絶対に守らなければ行けなくなる。
そして、振り返って足元を見た。扉と同じ色の鍵が落ちていたので、左側にあったあの青い扉を開くことができるかもしれない……そう思ったイヴはすぐに鍵を拾った。その瞬間、イヴの視界に目の前の絵画が映る。先ほどにこやかだったあの絵画は、口を大きく開いて目を見開き左側を見ていた。口からは何か赤い液体が流れている。
早くここから出よう……そう思って扉を開くと


                                          せ
        か                                          え              か
                  か              え                        せ            え
            え
  せ                        か              か



青い「おいで」の文字が、赤い「かえせ」になっているのだ。背筋が凍るような感覚になり、イヴは青い扉まで走るが……


 か
  え
   せ



床にも文字を刻む、赤い「かえせ」の文字。おそらく、この鍵の事だろう。返せと言われても、そもそもこちらに来いと言ったのは向こうのほうだ。それに、あの扉しか進む道はない。
イヴは左側にあった扉まで走り、鍵を使って扉を開け中に入った。すると、床と壁が緑色の部屋にたどり着いた。その部屋の壁には、昆虫の絵画が並んでいる。右のほうの道があるみたいなのでそちらに向かうと、幼虫が成虫になるまでの絵画が並べられていた。卵の状態は『プロローグ』。卵から生まれた幼虫は『第1章』。幼虫がさなぎになっているのは『第2章』。そして、さなぎから成虫になったものは『最終章』と書かれていた。普通の昆虫の絵画だが、普通なものがあるから不気味に思えてしまう。
その『最終章』の絵画の横に、緑色の扉があった。その扉のドアノブを回すと鍵は開いているようだ。しかし、中に入ると穴が開いていて通れなくなっていた。仕方なく元の道に戻る。すると、どこからか声が聞こえてきた。

「ぼくアリ。」

声の聞こえた方角は自分の真下。その下を見ると、小さなアリがいた。まさか、このアリがしゃべっているのか。
とにかく、話を聞いてみることにした。

「ぼく、絵、だいすき。ぼくの絵、かっこいい。ぼくの絵、見たいけど、ちょっと、遠いとこにある。」

どうやらこのアリは、自分が描かれた絵画を見たいのだという。しゃべるアリなんて、アリだけにあり得ないのだが、こんなファンタジックな生き物もいるんだなと思い少しほっとした。とにかく、ありに絵画を見せてあげようと思い、この先の場所へ向かうことにした。
すると、道に入ろうとする場所には中心に1本の柱があり、その柱には貼り紙があった。

“はし に ちゅうい”

どういう意味なのだろうか?「はし」という事なのだから、端の事を指しているのだろうか?ならば、道の真ん中を歩くしかないと思い、イヴは端には近付かないように中心を歩き出した。少し歩くと、なるほどと言える現象が起こる。それは、右の壁から黒い手が出てきたことだ。それに驚いたイヴは、転んでしりもちをついてしまった。だが、その黒い手は、中心にいれば全く届かないことを理解し、さらに奥へと進む。
今度は左から黒い手が、最後に両側から黒い手が出てきた。そうしてたどり着いたとき、目の前からも黒い手が出てきたのだ。イヴは進み過ぎて、瞬時にあたらないように避けたのだが、そのタイミングが遅くその黒い手に接触してっしまった。その時に、体に激しい痛みを感じた。すぐに離れて手が出てこない場所に移る。どこか傷を負ってしまったのだろうかと思い、自分の体をよく見た。だが、傷など付いていなかった。ならばこの痛みはなんなのだろうか……そういえば、先ほどバラを手にしたばかりだった。確か、命の根源だったはずだ。そのバラを見てみると、先ほどよりも元気がなくなっていた。そのせいもあるのか、なんだか自分の調子もあまりよくない。やはり、このバラを枯らしてしまうと、自分にも影響するようだ。きっと、このバラをどこか水のある場所につければ、この気分が悪いのも治るはずだ。
とにかく、今欲しいのはアリの絵画だ。黒い手が出ている壁の少し離れた場所に、アリの絵画があった。その絵画をよく見ると、外すことができるようだった。背の小さなイヴだが、自分よりもちょっと大きめの絵画を外し、黒い手に接触しないように元の道を戻り、アリに見せた。

「あ、それ、ぼくの絵。やっぱりかっこいい。うっとり。」

アリはそれだけ言うと、どこかへ行ってしまった。本当に見たいだけだったようだ。ならばこの絵を元の位置に戻そうと考えたが、飾られていた場所はイヴより少し高いとこから飾られていたため、戻すことは不可能だ。考えたことは1つ。先ほどの穴を、この絵画でふさげば通る事が出来るのではないか。そう考えたイヴは早速先ほどの部屋に行き、アリの絵画を表向きに置いた。その穴にぴったりとはまり、通ることができるようになった。アリがうっとりしていた絵画を踏むことになるが、いたしかたない。
絵画の上を歩くと、何かを踏みつけた音が聞こえた。見ると、アリの絵画が無残なものに変わっていた。かっこいいどころか、アリから赤い液体が噴出し、アリの体も潰されたようにぐちゃぐちゃになっていた。自分が踏んだことは確かな事だが、まさか踏み潰されたようになるとは思いもよらなかった。
気持ち悪さを胸に、次の緑の扉を開け中に入る。入ると、美術館にあった『無個性』の一体が置かれていた。色は赤だ。そして、壁には絵画が1つ。『エピローグ』と描かれたそれは、蝶がクモに捕まり食べられている絵画だった。大人が見れば、これは生きるためには仕方のない絵画だと解釈するかもしれない。しかし、9歳のイヴにはこの絵画はむごすぎた。見なければよかったと後悔した。
ふとその近くに、緑色の鍵が落ちていた。そういえば、先ほどアリの絵画を取りにに行くとき、緑色の扉があった。これはきっとそのための鍵かもしれない。
イヴは何のためらいもなく、その鍵を拾った。すると、置かれていただけの無個性が動き出した。イヴは後ずさりをし、追ってくるのだと思った。実際、その無個性はイヴを追ってきた。すぐに逃げ、アリだったはずの絵画が置かれている場所に来た。ここまでくれば安心かと思った。しかし、ドアノブが動く音が聞こえ、こちらに来るのだと思い、アリだった絵画の上を進み遠くに逃げた。そのときに絵画は大きな穴が開き、その瞬間に無個性も入ってきた。しかし、大きな穴が開いたため、無個性はこれ以上追ってはこなかった。
扉を開けると、遠くのほうで激しくガラスが割れる音が聞こえた。何が割れたのだというのだろうか。とにかく、先ほどの黒い手が出ている道を通り抜け、緑の扉の前に立ち鍵を使って中に入った。
そこは、なんだか猫のような壁が見えた。そして、その中心(といっても、イヴが触れることのできる高さ)に、魚を模ったくぼみがあった。もしかすると、ここにその魚の何かをはめればいいのかもしれない。
ひとまず、左側へと足を運んだ。目の前の扉を開けると、広い部屋だった。しかし、その広い部屋は、8本の柱があった。その一番近い柱に、真っ黒で目の赤い棒人間が描かれており、そのほかは赤い布がかかっていた。近付いてみると、その棒人間の下に文字が出てきた。

“かくれんぼ する?”

それを確認した後、棒人間は消えて布がかかっている柱の下に、黄色い印が付いた。つまり、先ほどの棒人間をこの中から探すという事だ。間違えたらきっと、何かよからぬ事が起こるに違いない。
イヴは己の勘を信じて、左側の奥から2番目を選んだ。黄色い印は、ボタンのようなものになっており、恐る恐るそのボタンを押した。カーテンが上がり、出てきたのは黒い棒人間。イヴは正解を当てたのだ。そして、文字が出る。

“みつかった けいひん あげる”

その文章を確認したと同時に、奥のほうで何かが落ちる音がした。音のほうに向かっていくと、魚の頭が落ちていた。落ちた音といい、持った感触といい、これは木でできている物だった。
上を見上げると、絵画がある。タイトルは『板前の腕』。この絵画に魚の頭がないことから、きっとあの美術館で見た果物のように、この絵画から出てきたんだろうと察した。
木製の魚の頭をポケットにしまい、部屋を出る。
今度は右側の部屋に入った。しかし、左側の部屋とは違って、とてもせまそうな部屋で、いくつものマネキンや、頭の造形が置かれていた。蓋がが開いた段ボールや、蓋が全く開いていない段ボール。段ボールを調べてみると、中身は空っぽだった。
そして、周りを見ながら、その先を見ると何かが落ちていた。『資材置き場』と書かれていた。気が付くと花瓶が置いてあった。少量の水が入っている。イヴはとっさにその中にバラを入れた。するとどうだろうか。イヴが持っていたバラはみるみる元気になり、先ほどの気分もよくなったのだ。これでまともに動ける。
そう思っていると、天井の灯りが点滅ししだした。何かと思いきょろきょすると、頭の像の目が赤く点り、その像が動き出したのだ。ゆっくりと、またゆっくりとイヴに近付いて行った。思わず後ろに後ずさり、段ボールの前で止まる。このままでは捕まってしまうのではないかと感じたイヴだったが、その像は先ほどのプレートに引っかかり倒れて割れてしまった。そして、中から何かが出てきた。魚のしっぽのようだ。イヴは先ほどの魚の頭を取り出し、その魚のしっぽを恐る恐る拾い、頭としっぽを合わせると見事にくっついた。これが、あそこのくぼみにはまるのだと思い、部屋を出てあの猫のような壁にあるくぼみに、木製の魚をはめ込んだ。
一瞬その場所が大きく揺れ猫の目が赤くなり瞳が細くなり、猫の鳴き声とともに道が出現した。その長く細い道を進むと、広いところに出る。壁には黒字に赤色で描かれた顔の絵画。しかも舌が動いている。近寄ってみると、何かを吐き出した。驚いたイヴはとっさに避ける。吐き出された者は青い液体。絵具に見えるのだが、何となく触りたくなかった。
その青い液体をよそ目に、イヴは先ほどの部屋で見たプレートを見つけた。そのプレートには“忘れたころに……”と書かれていた。何に対して言っているのかわからなかったイヴだが、そのまま進むと本当に忘れたころにやってきたものが壁から出てきた。あの黒い手だ。本当に忘れていたため、イヴはその黒い手に接触してしまい、またあの激しい痛みに襲われた。バラを見ると5枚の花弁が4枚に減っていた。でも、先ほど受けたときよりもまだ気分がいいほうだった。
道を進むと、左には黄色い扉、右には人形がぶら下がっている通路があった。そして、その先にはまた黄色い扉が。
イヴは近いほうの左側の扉に向かった。その扉の前には“ウソつきたちの部屋”と書かれていた。首をかしげつつ中に入る。そこには6枚の絵画があった。全員人型をとっており、全員真っ黒な肌だった。しかし、服装は一人一人違っていた。左から、緑の服、茶色の服、黄色の服、青い服、白い服、赤い服。そのそれぞれの絵画には文章が書かれている。
緑はこうだ。

“石造の正面に立って
 西に3歩 次に南へ1歩 そこが正解”

茶色はこうだ。

“石造の正面に立って
 東に4歩 次に北へ2歩 そこが正解”

黄色はこうだ。

“白い服が言っていることは 本当だよ”

青はこうだ。

“本当のことを言っているのは 緑の服だけだよ”

白はこうだ。

“石造の正面に立って
 東に2歩 次に南へ2歩 そこが正解”

そして、赤はこうだ。

“黄の服に 同意!”

この文章からすると、この先にある黄色い扉の先の事について言っているのだろう。しかし、『ウソつきたちの部屋』というのだから、全員が嘘をついていると仮定したほうがいい。しかし、この先について言っているので、誰か一人が本当のことを言っている。
青が「本当のことを言っているのは 緑の服だけだよ」と言っているが、これは嘘。従って、緑も本当の事ではなく嘘。赤が「黄色の服に 同意!」と言っている。これも嘘なので、同意してはいない。つまりは嘘。従って、黄色の「白い服が言っていることは 本当だよ」は嘘。次いで、白も嘘。
そして、たった一人残ったのは、茶色だ。茶色が言っていることが正解だ。
イヴは茶色の文章をもう一度確認してから、その先の黄色い扉の中に入った。部屋の中は、四角いタイルの床で中心に白い石造が立っていた。そうして茶色の言葉を思い出し、石造の正面に立って、東、つまり右に4歩。そして北、つまり、前へ2歩進んだ。その床を確認すると、どうやらはがれるようになっているようだ。タイルをはがしてみると、うす紫色で『』と書かれていた。何かの暗号だろうか?
その数字を確認した時、部屋の外でむごい音が聞こえた。ひどく切り裂く音、殴りつける音、そして最後に何かが割れる音が聞こえた。嫌な予感しかしないが、とにかく扉をゆっくりと開けてみた。
その部屋は音の通りにむごいことになっていた。すべての絵画は赤い絵の具のようなものが飛び散って付着していた。一番ひどいのは茶色の服を着た絵画だ。何かで殴られ、切り裂かれた後がくっきり残り、大量の赤い絵の具が付着し床に滴り落ちていた。見れば、茶色の服以外の絵画は凶器を持っていた。ナイフや包丁、さらに金槌など……。おそらく彼らが茶色の絵画を傷付けたのだろう。茶色以外の黄色い文字は全員“ウソつき!”と書かれていた。嘘を言っていたのは茶色以外だというのに……きっと、茶色だけが本当のことを言っていたので、それ以外の絵画たちは怒ったに違いない。
そっと部屋を出て、今度は人形がぶら下がっているほうに足を進めた。片足だけ縛られて、なおかつぶら下がっているのは本当に不気味だ。そんな思いで見ていると、近くで人形が1つ落ちた。落ちた瞬間の人形のポーズが本当にに不気味である。その人形を確かめてみると、今度は緑色で『18』と糸で縫われていた。やはり何かの暗号なのかもしれない。近くに、黄色い扉があるのでそこに使うのかもしれないと思ったイヴは、扉に近付いてみる。しかし、そこにはこう書いてあった。

×=?”

数字を集めて、計算して答えを入力すればこの扉は開くようだ。
今イヴが集めた数字は、薄紫の4と緑色の18だけ。この計算式には、あと1つ欲しいようだ。
他に数字がほしいとすれば……あの顔の横にある真白な絵画だ。
イヴは道を戻り、真っ白な絵画があるところまできた。本当に真白な絵画だ。しかしよく見ると、真ん中に何か書いてある。ピンク色で『』と書かれていた。これで数字はそろった。
早速黄色い扉まで行き、数式に当てはめていった。そうすると『18×9+4』という事になる。9歳のイヴには難しいように見えたが、父親がたまに勉強教えてくれていたこともあり、すぐにイヴは計算を始めた。
そして、出した答えは『166』。その数字を扉に書くと、何かの音がした。ドアノブを回すと、扉のかぎが開いたことが分かった。
黄色い扉を開けると、木のオブジェがたくさんあり、そのうちの1つは林檎がなっていた。もちろん本物ではない。本物ではないのだが、少し甘い香りがした。林檎をポケットに入れて、部屋の外に出る。きっとこれもどこか通るときに使うのだろう。
元の道を戻ると、狭い通路から黒い手がまた出てきたが、道の真ん中を通っていたので接触することもなく、驚くこともなかった。
そうして、顔の絵画があるところへとつくが、その方向は行き止まり。反対側のほうを見ると通路の壁に何か書かれていた。

“猛 唇 注 意”

『猛犬注意』とかそのあたりの部類だろうか?
進んでみると壁に唇があった。そして、その唇はしゃべりだす。

「はらへった。くいものよこせ。そのくいものよこせ。」

この唇が言っているのは、木製の林檎だ。この林檎をあげればいいのだろうか……正直あげなければ、こちらが食われそうな気がした。
イヴは言われたとおり、木製の林檎を取り出し壁の口の中に入れた。唇はむしゃむしゃと林檎を食べ「うまい、これ」といった。

「おまえ、きにいった。こことおす。おれのくちのなか、くぐっていけ。」

唇はそういって、大きく口を開いた。どうやらこの先に行けるようだ。
口の中に入っていくと、不気味にギロチンの絵画があった。絵柄ごとにギロチンはだんだん上がっていくものだった。そして、ギロチンの刃が絵画から消えたものにたどり着くと、上部から本物のギロチンが落ちてきたのだ。イヴはすぐに避けると、ギロチンの刃はドスンと大きな音を立てて床に落ちた。そのせいで床に大きな傷を付けた。その傷を見るあたり、あの刃は相当な破壊力だったに違いない。あの刃の下敷きになっていたら、今ごろ自分はこの世には存在していないだろう。
イヴは、心臓が止まりそうな感情を抑えながらも、ギロチンが作った傷をよけ、下の階段をゆっくりと降りて行ったのだった。


続く
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