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小説「Ib」Episode4

-Ib- Episode4


ギャリーと出会い、一緒に行動することになったイヴ。しかし、ギャリーはかなりの臆病のようだった。それでも、イヴを守らなくちゃいけないという気持ちは伝わってきた。たぶん。
ふとイヴが、壁にある『???な絵画』を見て、漢字が読めないとギャリーに伝えた。

「……ん?難しくて読めない字?あぁ、これのタイトルのこと?『抽象的な絵画』ですって……オーケー?」
「それって、どういう意味なの?」
「え……意味?んーと……つまり………抽象的な……絵画よ。」
「ギャリー、大人なのに意味わからないの?」
「わ、わからない時だってあるのよ……まぁ、とにかく!読めない文章は読んであげるわよ。」

ギャリーは「抽象的」の意味がわからないことを、困りながらも正直に伝えた。
ちなみに、抽象的は「1:いくつかの物事・表象から共通する性質を引き出し、それを一般化して思考する様 2:頭の中だけで考えていて、具体性がないさま。」である。
通路を進み、先ほどの青い液体をよけさらに進むと、突き当りの広い空間についた。広い空間には赤い扉が一つと、扉の前に頭のない像が立っていた。イヴでは重くて動かせない。

「なにこれ、邪魔ね……イヴ、ちょっと離れててくれる?」

そういって、ギャリーは像の横に立ち、力を入れて動かした。床と像がこすれあう音が聞こえて、少し鳥肌が立った。

「よし、これで通れるようになったわ。それじゃ、行きましょ!」

赤い扉を開くと、今度は灰色の場所についた。そして、そこには黒い右手と左手、そして、左右に絵画があった。黒い左右の手のタイトルプレートは『悲しき花嫁の右手』、『悲しき花嫁の左手』。絵画のほうは、左は『嘆きの花嫁』、右は『嘆きの花婿』と書いてあった。二つの絵画をよくみると、花嫁と花婿が悲しそうな表情をしていた。そうして、黒い左右の手を見る。指輪がない。つまり、この二人が悲しんでいるのは、花嫁に婚約指輪がないからだ。しかし、今婚約指輪など持ってはいない。とにかく先に進むことにした。
進んだ場所は広いところだった。近くには、タイトルプレートのない、コーヒーとケーキの絵が飾ってあった。
左のほうに、扉があったがまずはこの辺一片を探索することにした。
扉があるさらに左のほうへ足を運ぶと、床にはたくさんの目玉が浮き上がった。その瞬間、

「きゃ―――!なにこれ、気持ち悪い!」

と、ギャリーが悲鳴を上げた。そして、「なんで、床に目があるのよ……!」と、悲鳴を上げたことをなかったかのようにして冷静さをあおるような口ぶりに戻していった。
恐る恐るその道を進んでいくと、おかしな目が一つだけあった。

「な……なんか、この眼だけ充血してない?」

ギャリーの言うとおり、他の目と比べて真っ赤に染まっていた。ドライアイかなんかなのか?

「充血って?」
「この不気味な目のように、目が真っ赤になる事よ。目を開け続けて乾燥でもしたのかしら?」
「じゃ、直すには目薬が必要だね。」
「んー……まぁ、そうね。って目薬探す気なのかしら?」

ギャリーの言葉もそっちのけ。イヴは目薬を探すことにした。ギャリーが軽く止めようとしたが、何かの手掛かりになるかもしれないと言われ、一緒に探すことに。
通路を抜けると、壁にはたくさんの絵画があった。女の人の絵、大きな氷の絵、白い蛇の目がくぼんでいる絵、どこかの景色の絵。見ても目薬は見つからない。
踵を返して前に進んでいくと、扉があった。その扉に入ると、目薬が描かれた絵と椅子がたくさんあり、奥のほうに目薬が置いてあった。
奥の目薬のところに行くため、まず手始めに一番近い右のほうにある椅子を前にずらした。ずらして通路にして先に進んだ椅子を奥へ。そうしてできた通路をまた進み、目の前の椅子……ではなく左の椅子をずらす。そのままでは先へ進めないので、ずらした椅子の右側の椅子をずらした。そして、通路となった先の椅子をどかし、ようやく目薬の元へとたどり着いた。
椅子の上にある目薬を取り、自分で作った道を通って部屋を出た。そうして、充血している目のところへと戻り、目薬をさしてあげた。すると、瞬く間に充血は治り、その目は他の目よりもさらに潤った目になった。そのおかげでキラキラ輝いているように見えた。
すると、その目は突然移動し始めた。追ってみると、右の端の壁をじっと見つめている。何かあるのだろうか?そして、目を閉じてしまった。
壁をよく見ると、他の色と少し違っていた。不思議に思ってみていると、何かが崩れるような音が聞こえ、隠し通路が出来上がった。中に入っていくと、赤色のガラス玉が落ちていた。

「これ、何かしら?」
「あ、このガラス玉もしかして……!」
「ちょっと、イヴ!?」

イヴは何かを思い出したかのように通路から出て、白い蛇の絵画の前にやってきた。そして、迷うことなくそれをはめた。そうすると、隣の絵画がポトリと落ちた。一瞬びっくりしたが、その額縁の裏には文字が書かれていた。

“大きな木の後ろに……”

「大きな木って言われても、ここ室内よね……あるのかしら……。」
「あるよ、きっと。ほら、話したでしょ?だからどこかにあるよ。」
「そ、それもそうね。」

しかし一体どこにあるというのだろうか?
そういえば、まだ確認していない扉がまだあった。ここへ来たとき、左側にあった扉だ。その中に入っていくと、天井がかなり低かった。おかげでギャリーが少々中腰である。つまり、天井の高さは、ギャリーとほぼ変わらない高さだった。目の前のプレートには『ラビリンス』と書かれていた。

「迷路ってことかしら……だからこんなに天井が低いのね……。」
「つまり、上から通路を見れないようにしてるのかな?」
「上から見たら迷路なんてすぐにたどり着いちゃうからね。とにかく、進んでみましょ。」

ひとまず右に進んだ。左に通路が見えたが、最初から行ったり来たりしていては迷ってしまいそうなので、突き当りまで進む。そうして今度は左の道をまた突き当りまで進んだ。突き当りを左に進み、すぐに右に曲がった。すると、何かが置いてあり何かが書いてあった。

“赤い絵の具から まっすぐ南へ”

赤い絵の具……そういえば床に赤い絵の具があった気がした。同時にあの無個性も何体かいた気がした……。
ひとまず無個性に会わないように、壁に右手を付きながら迷路を歩いていると、少し空間があいたところについた。そこに貼り紙があった。

『迷路を抜け出すコツ……
 壁に片手を つきながら 進んでいけば
 いつかは ゴールに たどり着ける』

と書かれていた。つまり、今のようにしていけばそれらしいものが見つかるかもしれないという事だ。

「コツはいいんだけど……天井低くて参っちゃうわ。おまけに、変なのウロついてるし……。」
「あれ、美術館にあった『無個性』だよ?赤しか見当たらないけど。」
「あ、そういえばそんなのあったわね……とにかく、挟み撃ちにならないよう、気をつけなさいよ?イヴ。」

ギャリーに言われ、無個性にはさまれないようにそうっと出た。そうして出ると赤い絵の具が床についていた。この絵の具からまっすぐ南に行けばいいのだろうか?
妙に地道に追ってくる無個性を華麗に避けていくと、壁に“迷路は 好きですか?”と書かれていた。

「好きじゃないわねアタシは。この場所は特に。」
「天井低いもんね。ギャリー大丈夫?」
「頭ぶつけなければ問題ないと思うわ。」

そうして、迷路をうろついていると、壁にスイッチのようなものを見つけた。迷うことなく押すと、部屋の外で何か音が聞こえた。
迷路を抜け部屋を出る。そして、音が聞こえた方向へ足を運ぶと、コーヒーとケーキの絵が飾ってある所についた。だが、そこにはなかった扉が出現していたのだ。
ドアノブに手をかけると鍵は開いていた。中に入ると、ライトが何度も点滅を続け、目が悪くなりそうな部屋だった。そして、横に広い。
その部屋には展示品がいくつかあった。一つ目は大きなワイングラスが斜めにカットされて、中に赤いクッションがまるでワインがこぼれそうな表現で入ってる『ワインソファ』。

「あんまり、座り心地良くなさそうね……。」

二つ目はバストアップの白い石造で『憂鬱』。確かにそういう表情をしている。しかし、イヴは漢字が読めなかった。

「何て読むの?」
「ゆううつ、ね。ま、こんなとこにいれば、憂鬱にもなるわよ。」

三つ目は、いろいろな色で塗られたガイコツ。タイトルは『パズル』。これをどうパズルと見ればいいのだろうか。それに……

「これ、ニセモノよね?」

色が塗られているとはいえ、何かとリアリティのあるこのガイコツは、本物のように見えた。
そして、四つ目は人の形にも見える木のオブジェ。タイトルは『感情』。

「よく、こんなもの考え付くわよね……って、これ、木よね?」
「うん。確かさっき額縁の裏に、“大きな木の後ろに……”って。」

先ほどの額縁に書いてあったことを思い出し、木のオブジェの後ろに回ると、葉っぱの中に、何かが光っていた。よくよくみると、それは銀色の指輪だった。

「これ……結婚指輪じゃない?どうしてこんなところに?」
「そういえば……ここに来る前に……。」
「そうよ!あの花嫁と花婿!これを左手の薬指にはめればきっと喜ぶんじゃないかしら?」
「うん!きっとそうだよ!行こう、ギャリー!」

そう言って、一度ポケットの中に指輪を入れ部屋を出る。そして、花嫁と花婿の絵画がある場所に来た。何度見ても、悲しそうな表情だ。
イヴはポケットの中から指輪を取り出して、『悲しき花嫁の左手』の薬指に指輪をはめた。
すると、花嫁と花婿の表情はとても素敵な笑顔になり、花嫁は持っていたブーケを上に飛ばした。投げられたブーケは、天井から落ちてきた。とても綺麗な花が何種類も入ったブーケだ。

「でもギャリー、どうして指輪は左手の薬指なの?」
「それはね、一番心臓に近いからよ。」
「どういうこと?」
「心臓はハートって言うでしょ?花嫁と花婿の指輪の交換は、ハートとハートをつなげるの。そして永遠の愛を誓うのよ……イヴのお母さんとお父さんも薬指に指輪してるでしょ?永遠の愛を誓っているって意味なのよ。」
「そっかぁ。」
「ま、大人になったらもっとわかるわよ。」

ギャリーはちょっとだけ、意地悪っぽく言った。
そうしてブーケを持ったままのイヴに対し、「将来この子も、本当の意味でブーケを持つ年になっていくのかしらねぇ。」などとギャリーが思いつつ、先ほどの広い場所につく。このブーケをどうすればいいのだろうか?
この部屋に進む道はないような気が……いやまだあった。目薬が置かれていた部屋の先にまだ道が確かあった。そう思い道を進むと、行き止まりだった。あるのは不気味に動く青色の顔の絵画だけだった。
ここで一生を終えるのかとがっかりしていると、声が聞こえてきた。

『えへへへ へへへへへ はな……おはな いいなぁ……』

声が聞こえたのはこの気味の悪い絵画だ。非常に鼻のかかった話し方をしている。

『そのお花 くれたら ここ 通してあげるよ……えへへ』

「お花っていうと、イヴが持ってるブーケの事かしら?それしか考えられないわね。バラなんか渡したら、とんでもないことになりそうだわ……。」
「そうだね……。」
「イヴ、ブーケ渡してみたらいいんじゃないかしら?」

『えへへ……お花 ちょうだい?』

気味の悪い絵画が要求するので、イヴはブーケを渡した。

『えへへへ ありがとう……… いいにおいだなぁー…………えへへ それじゃ いただきます』

え?いただきます?
気味の悪い絵画は、イヴに渡されたブーケを勢いよく食べ始めた。その時の色は、青ではなく赤。額縁の色まで赤に変えて、ブーケをむしゃむしゃと食べたのだ。食べている姿は猛獣のように見えた。

「イヴ、バラ渡してたら、全部食べられてたわね……。」
「う、うん。」

青褪めながら二人は言った。
気味の悪い絵画はブーケを食べ終わり、『あー おいしかった えへへ』と呟いた。

『ありがとう ありがとう 約束だからね ここ通すよ』

といって、顔から扉の姿に変わった。ちゃんとドアノブがついてる。

『このドアで 奥に行けるよ それじゃあね えへへへへ』

絵画のドアノブなんて触れるわけではいと思っていたが、ものの見事にドアノブに触ることができた。ドアノブを持ち、中に入ると狭い短い通路。その短い通路を出ると、不気味な廊下に差し掛かる。マネキンのような頭部が廊下の両端にずらりと何個も並べてあった。左の壁には、真っ白な肌を持った人の絵画が、等間隔に三枚飾られている。しかしそれぞれで背景が違っていた。手前の絵画は水色に近い灰色。中心は赤。そして、奥は緑だった。
イヴとギャリーはそれらが動かないでほしいと思いながらも、廊下を早足で歩いて行った。途中赤色の背景の絵の人物が、こちらを見ているような気がしたが、気にも留めず前だけを見て進んでいった。
この先、今までと比べ物にならないほどの恐怖を味わうことになるとも知らずに……。


続く
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