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小説「Ib」Episode6

-Ib- Episode6


部屋を出ると、先ほど出てきた通路に出た。壁にはあの白い顔の人の絵画があった。だが、左から右にに行くにつれ、目から赤い何かを流していくようなものだった。ちなみに、今一番近くにある絵画は、赤いものを流していない。何故だかはわからないが。
しかし、今となってはこんな不気味な絵画も慣れっこだ。何度も不気味な絵画に出会ったためか、耐性が付いたようだ。
目の前の長い階段を下りていくと、灰色はだんだん別の色に変わっていき、下についたときに紫の色に変わっていった。
ギャリーと手をつなぎ歩いていくと、何かの音が聞こえた。その聞こえたほうを見ると扉があった。だが毎度のごとく鍵は締まっている。しかしのぞき穴があった。背の低いイヴでは見えないため、ギャリーがのぞいてみるが真っ暗で何も見えなかった。とにかく通れないとわかったので、先に進むことに。
廊下を歩いていくと、柵に囲われた無個性が数体置いてある場所につく。今は無個性たちは動かない。

「もしかしてイヴ、この中に入るとかじゃないわよね?」
「さっきよりももっと怖い事が起こるかもしれないし、ちょっと慣れないとなーって……。」
「つ、強いわね、イヴ。(まぁ、アタシも悲鳴あげてばっかりじゃキリないし、行ってみる価値はありそうね……。)」

二人は、唯一空いている入口に入ってみた。すると……

「入口、閉まっちゃったわよ!?」

そう、大きな音を立てて、入り口が閉まったのだ。そして、無個性の一つが動き出す。色は黄色。両手をあげて動く姿は、まるで亡霊がさまようかのようだ。
無個性から逃れようと出口のヒントを探すために、置かれた本棚にある『日誌』というものを発見し読んでみた。

『ヒトの想いが こもった物には
 魂が宿ると 言われている
 それならば 作品でも
 同じことが できるのでは と
 私は常に 考えている
 そして 今日も私は
 自分の魂を 分けるつもりで
 作品作りに 没頭している』

「うそ、これだけ……?出口の場所くらい書いときなさいよね。さっさと出ましょ!イヴ!」

焦りながらも本をしまい、無個性から逃れる。壁にはボタンのようなものがあり、赤と青と緑があった。
試に緑を押してみた。青い無個性が動き出した。

「増えちゃったわ!」
「ギャリー落ち着いて!」
「そ、そうね、隣の青いボタン押せばいいのよ!きっとそうだわ!」

そういって、うまく二つの無個性から逃れて急いで青いボタンを押した。
すると、出口ができた。一目散に走って抜け出す2人。

「なんなのよもう……まぁ、さっきほどじゃないけどさ。」
「こういう何か追われるっぽいやつあると思うし、今のは練習ってことでいいんじゃない?」
「イヴ、それ言ったら今までの何なのよ?」
「それもそうだね。」

柵の中では、無個性はいまだに動き続けている。外に出たそうにしているが、出られるところは塞がれているので、この無個性に襲われることはもうない。
通路を歩くと『ミルクパズル』というタイトルの絵画を見つけた。

「イヴ、ミルクパズルって知ってる?」
「うぅん、知らない。」
「まぁ、その名の通りミルクのように真っ白なパズルのことよ。絵がついてないから、普通のパズルより難しいんですって。」
「へぇ……。」
「頭がいい人は、すぐ完成できるらしいけど……正直、面白くないわよ。だって絵がついてないんだもん。好きな絵がパズルになってこそ、やりがいがあるってもんよね。」

そう会話をしながら道を歩くと、『月夜に散る儚き想い』という絵画を見つけた。
その絵画は、今まで見てきた中で一番美しく見えた。月夜に照らされた桜、もしくは梅の花。その花びらがより一層美しく照らされ、ひらひらと花弁が散っていた。その名の通り、花弁は儚く散っている。しかし、本物ではないので、この絵画がどんなに散らしてもなくなることはなかった。床には、花弁が数枚落ちている。
その美しい絵画をひとしきり見たあと、2人は先へと進むことにした。この絵画を楽しむのもいいことだが、やはり進まないことにはこの美術館を脱出することができない。
そうして通路を進むと、扉が見え始めた。しかし、鍵がかかっている。
ふと、ギャリーが扉についてるものを見る。

「何かしら、このパネルみたいなの……何か入力できるみたいよ?」

何かといっても、何を入力したらいいのかわからなかった。その言葉をどこかで入手しなければならない。
ひとまず、左側にある扉に入ってみることにした。
そこは狭い通路で、目の前には像が道を塞いでいた。

「何よこの像……通路塞いじゃって。」

そう呟やいて、像の横に立ち力を入れて動かし、「よし、これでオーケー!」と呟いた。
しかし、この狭い通路には紐が垂れ下がっていた。何かと思い、イヴはその紐を引っ張ってみた。しかし、何かが起こるわけでもなかった。
頭にクエスチョンマークを浮かべ、像をどかした通路の先へ進むことにした。
出た場所は、さっき来た場所。しかし道に出ると、壁に文字が浮かんでいた。

“ゲルテナ展にある 床に描かれた
 大きな絵の タイトルは?”

「げ……もしかして、暗号?あの大きな魚が描いてあった絵よね?イヴ見た?」
「うん見たよ。でもタイトルが読めなかった……。」
「そうよね……なんだったかしら……確か、深海のなんとかって……。」
「深海の?」
「一文字だったのよねー……ちょっと、イヴ適当に一文字あげてくれない?」

ギャリーが思い出せるように、イヴは適当に文字を言っていく。

「『え』は?」
「深海の絵……ねぇ。何か、そのまんますぎない?さすがに違う気がするわ……。」
「じゃ『ま』は?」
「深海の間……か。あー、それっぽいわね。でも何かこう……もっとスケールの大きい感じだったような……。」
「じゃ、『よ』!」
「深海の世…………あ!そうよ、それだわイヴ!『深海の世』!」
「あれ、『しんかいのよ』って読むんだね。」
「えぇ!……ところで、この暗号はどうすればいいのかしらね?」

暗号を解読したところで、何も起きない。しかし思い返すと、鍵のかかっていた扉に、このタイトルを入力すればいいのかと思考を巡らし、先ほど通った道を戻って鍵のかかった扉の前に立った。そして、その扉についているパネルに『しんかいのよ』と入力すると、施錠が外れる音が聞こえた。
ドアノブを回すと鍵が開いていて、中に入ることができた。中に入ると本棚と大きな絵画が目に入る。
本棚には『ここの女性たちは……皆花占いが好き』と書かれた物や……

『???
 私はその ?めかしく
 美しい??に 指を?らせ……
 ??を?えさせる彼女を そのまま……』

ギャリーに本を閉じられてしまった。

「……こういうのは、大人になってから読みなさいね。」

イヴは何故本を閉じられてしまったのか理解ができなかった。ただ、ギャリーがちょっと恥ずかしい表情をしているのだけはわかった。とにかく、ギャリーが恥ずかしく思ってしまうような内容らしい。
そうして絵画のタイトルを見ると、『決別』と書かれていた。最初見たときは、不気味な絵画だとしか思ってはいなかったが、こうやって改めてタイトルを見た後でこの絵画を見ると、非常に心が痛むような絵画に思えてきた。

「何か、嫌な絵ね……。」
「う、うん……。」

そう会話していると、突然部屋の明かりが消えていき、真っ暗になってしまった。

「わっ、何!?停電?!ちょ、暗くて何も見えないじゃない……!イ、イヴ!いる!?」
「いるよー!」
「そう、なら良いわ……ちゃんとそこにいてよ?」

そうはいっても暗いまま。明るくなる様子はまるでない。

「しかし、困ったわね……あ、そうだわ。ライターがあったの忘れてた。」

そういって、ギャリーはポケットからライターを取り出し、火をともしてみた。その灯りは部屋全体にいきわたり、部屋の様子が分かるようになると、

「…………え?」

そこにはクレヨンで描いたような文字が複数書かれていた。
赤い文字で『たすけて』。緑の文字で『いやだ』。ピンクの文字で『やめて』。青い文字で『こわい』。黄色の文字で『しにたくない』。

「な……何よコレ………!」

こういうことになることぐらい解っていた。しかし、少し油断していたのか、体全体に寒気を感じた。

「ホントキッツイわ……精神的に。」

そして、あの『決別』と書かれたタイトルは『や め ろ』に変わっていた。
外に出ると、赤い文字が壁と床に刻まれていた。

お客様に申し上げます。
当館内は火気厳禁となっております。
マッチ、ライターなどの持ち込みは
ご遠慮くださいますよう
お願いいたします。
万が一、館内でそれらの使用を
スタッフが発見した場合、


そこで文章は終わっていた。
近くにある鏡には、

火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁
火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁
火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁


と、赤い文字で鏡全体を埋め尽くすようになっていたり、

アソボウヨ

と、赤いクレヨンで描かれたり、

めめめめめめめ

と、黒いクレヨンでランダムに書かれ目が塗り潰されたりしていた。

「この鏡なんなのよ……ホントに不気味で鳥肌しか立たないわ。」

しかし、この先に進めないため来た道を戻った。すると、床に赤い絵の具の足跡があった。その足跡をたどると、先ほどなかった扉が出現していた。これが次に進める道らしい。
その扉に近付いて中に入ると、突然誰かが走ってきてそのままイヴにぶつかり転んでしまった。

「ちょっと、大丈夫!?」

ギャリーは驚いて、その子に近寄ってその人物の目線になるようにしゃがみこんで様子を見た。
その人物は、黄色い長髪に青い瞳、緑色のワンピースに青いリボンを付けた服を着た小さな女の子だった。ちなみに、ワンピースにはフリルが付いている。年齢はイヴと同じぐらいだろうか。とても幼い顔をしている。
その女の子は、しばらく呆然としていたが、突然立ち上がって後ろへ下がってしまう。

「あ!待って!ねぇ、アナタ………もしかして、美術館にいた人じゃないの!?」
「あ……!」
「やっぱり………。アタシはギャリー……で、こっちの子はイヴっていうの。」

ギャリーが優しくその女の子に話しかけるが、黙って見つめるばかり。

「アタシたちも美術館にいたのに、気付いたらこのワケわかんない場所に迷い込んじゃってて……今、何とか2人で出口を探してるワケなんだけど、もしかして、アナタもそうじゃない?」

女の子は、優しく語りかけるギャリーを見つめ、突然淋しそうな表情をしてようやく言葉を発した。

「わ……わたしも、誰かいないか、捜してたの………外に出たくて………それで………。」
「あぁ、やっぱり!ねぇ、良かったら一緒に行かない?」
「え……………。」
「女の子1人じゃ危ないわ。ここ、変な生き物とか結構いるみたいなのよ。だから、一緒に行きましょ?みんなでいた方が、心強いし。」

女の子はしばらく考え、そして答える。

「うん、行く………!」
「んじゃ、決まりね!あ、名前はなんていうの?」
「メアリー………。」
「メアリーね!よろしく、メアリー。」
「……うん!」

メアリーと名乗った女の子は、イヴの方に向き「えと……イヴ、よろしく……。」と呟いた。それにイヴは「よろしくね。」と返答をした。
しかし疑問だ、メアリーは最初にいたあの美術館にいただろうか?イヴはあの美術館の中を、隅々まで見学した。あそこにある展示品はすべて見た。ギャリーの存在だって気付けた。だが、目の前にいるこのメアリーがいた記憶など、イヴにはなかった。こんな目立つ髪の色をしているのに、気付けないはずはないのだが、きっと自分が作品に夢中になって気付けなかったんだと解釈して、気にする事をやめた。

「よーし、それじゃあ仲間も増えた事だし、はりきって行くわよ!」

ギャリーが気分を切り替え、勇ましく声をあげると、イヴとメアリーはそれにつられて楽しく「おー!」と、声を上げた。
しかし、メアリー言葉の意味を――外に出たいという本当の意味を後になって知ることになるとは、今の2人には想像すらできていなかった。
そして、メアリーの加入により、この先の恐怖に巻き込まれていくことすらも、想像できていなかった。


続く
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