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「7th Spirit」の最終話から100年近く経ったあとのお話。

・・・を書いていた。
主要キャラは、ゼノンさん、ラチナスさん、そして、ヴァリス。
キャラがわからない人にはほんとにわからないし、「お話全部読んでねぇよ」な人にもわからないと思うけど、そんな人でもわかるような内容を書いたつもりです。

ということで、お話をどうぞ。



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「お前は、長く生きたよ・・・。」

右目を包帯で隠した男性が、墓石の前でつぶやいた。目には涙がにじみ、それが目尻にじわりじわりと溜まっていく。
墓石には、眠っている人物が住んでいた場所にあった薔薇が、美しく飾られたブーケになって置かれていた。その薔薇は花びらが剥がれやすく、そよそよと優しく流れる風だとしても、その風に乗るようにひらひらと舞って、どこかへ飛んでいってしまう。まるで、この墓石の下に眠る者が、どこかへ行ってしまうように。
風に乗り遅れた花びらは地面へと落ち、小さな小鳥のような生き物が数匹舞い降り、花びらをついばみ、くちばしで上手にくわえ空へと持っていく。
残った花びらを男性はそっと拾い、ジッと見つめる。

「ホント・・・長く生きすぎたよ・・・。」


・・・・・・・・


ここは死神界。朝昼晩、いつだって薄暗い。人間界のような明るさを持ち合わせてはいない。しかし、死神界でも人間界のような明るさを持った場所があるらしいのだが、その場所を知る者はいなかった。噂で流れてきた情報だ。きっと誰かが見つけて、それが口コミで回ったのだろう。見たものがいるのならば、その人物から場所を追求すればよいのだが、見たものが誰なのかも知らないので、追求することもできなかった。
そんな場所に、とある人物がいる。髪はこげ茶色よりも少し明るめで、毛先は皆焦げ茶色。前髪の一部は、山吹色とオレンジ色が混ざったように染まっていた。しかし、染めたのではなくこれは自毛だそうだ。
鏡の前に立ち、右目が緑色に染まった方を包帯で巻き付け隠す。制服であるはずの上着を肩に軽くかけ、珍しくそれに腕を通す。いつもは腕に通さず肩にかけるだけなのに。
そんな人物の名前は、ゼノン・ルシタール。現在、死神部隊第一部隊副隊長。今から、悪霊退治の任務に出向くために準備をしている。
近くの小さな棚から櫛を取り出し、髪をとかしてみるが・・・すぐにやめた。どうせ悪霊と戦うのだ。髪の毛をとかしても意味はない。
櫛を棚にしまって、もう一度鏡を見る。上着のボタンを留めるか留めないかで迷った。このままでも別に良かったが、腕に通してしまったのでボタンを留めることにした。
上着についた小さな埃を軽くはらって、もう一度鏡を見て深呼吸。そして、一言。

「よし。」

そう言って、長い上着を翻し外に出ていく。すると、白銀の長髪を持つ人物が、待ちくたびれたのか、片手を腰に当て呆れたような表情をとって立っていた。
彼の名前は、ヴァリス・ストレジア。現在、死神部隊第一部隊隊長。親が閻魔大王なのだから、跡を継がなければならないのだが、あの日から100年近く経っているにもかかわらず、本人は未だ現役であるためこうして死神部隊を続けているのである。
ちなみに「あの日」とは、とある青年が事故により魂が分かれてしまい、それを集める試練を行い、無事その試練を終え自分の体に戻っていったことがあった日だ。その日から100年近く経ってるので、彼も今の時代には生きてはいないだろう・・・生きているとするなら、人間界で生まれ変わっているか、はたまたこの死神界で死神になっているかであろう。

「ゼノン遅い!他のみんなはもう現場にいて、配置について待機してる。」
「悪い。今日はなんだかいつもと違うスタイルにしたくてな。」
「確かにいつもと違うけど・・・そうじゃなくて早く行かないと!」
「そうだな。」

そう言葉を交わし、ヴァリスがポケットから小型簡易転送装置を取り出し、ホログラム画面を表示させる。そして、現場となる場所がチェックされている場所に触れると、二人が立っていいる地面に一つの光が浮かび、その光は二人を囲むように円をえがく。そしてその空間だけが大きく輝き、二人の視界は真っ白になる。
そして、その視界はすぐに晴れ、現場に到着していた。
現場は、古びた神社。敷地内が広く、建物も多少なりと大きめである。神社の周りは木々が生い茂り、時折吹く風でざわざわと不気味な音を立てる。人間であれば、幽霊が出やすいという噂になり、肝試しに訪れるのであろう。
しかし、今は任務。ここに悪霊が住み着いていることには変わりない。事実、ここの悪霊は、人間たちに悪さをしているという情報が入っている。その悪さとは、ここに訪れた人間にとりつき、ほかの人間を襲うのだ。首を絞めたり、刃物で脅したり・・・最悪の時は相手を殺して、取り付いた人間すらも殺してしまうらしいのだ。
そんな悪霊を野放しにしてはならないということで、第一部隊が呼ばれたのだ。しかし、今この場に悪霊が出現していなかった。姿を消しているのだろう。ここに居るという気配は確実に感知しているのだから。

「まだ出てきていないか。」

木々を背に、声を最小限に抑えてヴァリスがつぶやく。

「あ、隊長・・・ようやく副隊長を連れてきたんですね。」
「そんなことはいい。今の状況を説明しろ。」
「は、はい。今の段階では、悪霊は何もしていません。我々の存在にも気付いていないはずです。動き出すのはおそらく、人間がここに立ち寄った時だと思われます。」
「なるほどな。じゃ、気付かれてないなら、さっさと片付けるぞ。」

そういったヴァリスに、ゼノンが待ったをかけた。

「なんだよゼノン。」
「今動くのはまずい。この神社にいることは確かだが、精密な場所を検知していないじゃないか。それに、この大きく感じる気配は、俺たちがここにいる事を感知してのダミーだ。」
「じゃ、俺たちが今ここにいるってことがバレてんのか?気配は消しているつもりなんだけど。」

そう疑問を立てるヴァリスに、一人のメンバーが申し訳なさそうに軽く手を挙げた。

「すみません、多分私がさっき武器を落としてしまったのが原因だと思います・・・。」
「武器を落とした?!何でそんなことを!?」
「申し訳ありません・・・!隊長と副隊長が来る前に、もう一度武器のチェックをしているうちに、うっかり落としてしまって・・・。」

そのメンバーに対してヴァリスは大きくため息をついた。

「落としたとき悪霊の気配が大きくなったのを感じました・・・しかし、すぐにその気配を抑えたので、何か他の小動物だと勘違いしたのだとばかり・・・本当に申し訳ありません!!」

深く頭を下げるメンバーに怒る気にもなれなかった。

「もういい、頭上げろ。俺たちが簡易転送装置で来た時の反応を感知したかもしれない。お前だけの責任じゃない。」
「し、しかし!私とて、第一部隊の隊員です・・・そんな私があってはならないことをしてしまったのですよ?」
「だぁああ!もういいって言ってんだろ!!任務に集中しろ!」
「あ、は、はい・・・すみません・・・。」

そう言って、メンバーは後ろに下がり自分のいた場所に戻った。

「で、ゼノンはどうしたいんだ?」
「人間が現れるのを待つしかない。そうでなければ、悪霊は姿を見せないだろ。」
「けど悪霊も馬鹿じゃねぇ。俺たちに見られた状態で人間に取り付くのかよ?」
「そこが問題なんだよなぁ・・・。」
「おいおい・・・結局策ないのかよ・・・。」
「そのまま突っ込むよりはだいぶましな提案を出したんだがな?」
「んだとぉ?!」

喧嘩になりそうな二人を近くのメンバーが慌てて二人をなだめた。
すると、ゼノンが持っている通信機が静かになりだした。この状況に空気を読む通信機だと思ったのは、おそらくここに居る全員だろう。
ポケットから通信機を取り出し、通信ボタンを押す。

「はい、こちらゼノン。そちらは、閻魔様?何かごようで?」

『ゼノン、急用だ。すぐに来い。説明しなくてもわかるだろ?』

「ま、まさか・・・!」

『そのまさかだ。任務の途中で悪いが、すぐに救護施設へと向かってくれ。』

「解りました。すぐ行きます。」

通信ボタンを押し、閻魔との会話を終了すると、ゼノンはヴァリス含める全員に顔を向けた。その顔はとても深刻そうな表情だった。
ヴァリスやメンバーたちは、ゼノンの表情を見て瞬時に理解した。任務よりも大事なことだということを。

「行ってこいよ。唯一の肉親だろ?」
「すまない・・・。」
「謝るなよ。いいから早く行け。」
「あぁ・・・ありがとう。」

そういって、ゼノンはその場を飛び立つようにしながら、簡易転送装置で救護施設へと向かった。


・・・・・・・・


救護施設、そこは人間で言う病院のこと。軽い傷を治すのはもちろん、大きな怪我も直したり、病気の人を手術で助けたり、近くの小さな病院が、この救護施設への紹介状を渡したり・・・人間が使用しているものと何ら変わりはしない。
強いて言うなら、ここがなくなってしまったら、死神たちにとってはとても不便になるということだけだ。
その救護施設に到着したゼノンは、急いでとある部屋へと走った。
長い廊下を抜け、突き当りの階段を一気に駆け下りる。エレベータが来るのを待ってなどいられなかったのだろう。それほど深刻なものだった。
そして、地下の部屋にたどり着いて、大きく音を立てながら扉を開いた。

「ラチナス!!!」

そこには、カプセルの中で目を閉じている人物が一人。彼は、ラチナス・R・シュータス。死神界の貴族の中で最高権威を持つ種族の一人。彼は以前その頂点にいた。今となっては、目を閉じて人形のように動くこともできなくなってしまっているが。
心拍数を表示しているメーターを見ると、さほど大変な状況ではないと判断し、ゼノンは一息ついた。

「はぁ・・・脅かすなよ・・・俺が見送る前に死んだかと思ったじゃないか・・・。」

そう一声かけると、カプセルに接続されている画面に文字が浮かぶ。

“慌てすぎだ。そう簡単に死ねるわけないだろう?”

これは、喋ることもままならなくなったラチナスのために接続されたものだった。
このカプセルには、ラチナスの喋りたい言葉を精密に検出して、画面に出して相手に伝えることができるようになっているのだ。

「だって、閻魔様が『ラチナスが危篤だから早く行け』みたいなこと言うからさぁ・・・心配して損した。俺は任務に戻るからな。」

“待ってくれ。もう少しそばにいてほしい。”

本体は目を閉じて動きもしないが、その文章だけを見てラチナスが寂しそうにしているのが目に浮かんだ。それもそうだ。彼は、いつ死んだっておかしくないのだから。
ゼノンと一緒にいたいがためなのか、自分の顔をいつまでも若く保ちたいと、何度も整形をしたり、どこから入手したのかわからない秘薬を飲んだりなどをして、ここ100年近く生き続けていた。
今の状態になってしまった時に、救護班から安楽死させるという提案があったのだが、話を聞いていたラチナスは、その時だけ必死に動こうとし、声を絞り上げて「やめろ」とだけ言った。
それほどラチナスは、ゼノンと一緒に生きていたかったのかもしれない。
しかし、ゼノンは一度死んだ身。その体が、あの青年のおかげで蘇り、不老不死になっている。そんなゼノンと、いつまでも一緒に生きていられるわけなどなかった。

「・・・わかった。お前がどうしてもって言うならいてやるよ。」

言いながらゼノンは、ラチナスが入っているカプセルまでゆっくり歩いて近付く。ついでに、会話しやすいように画面も一緒に近付けた。そこには「ありがとう」の文字が表示されていた。
そうして、椅子を取り出しそこに座る。

「全く・・・人騒がせだな、お前は。昔からそうだよな。」

“人騒がせなのはお互い様だ。”

「言うと思った。」

と、呆れたあとに、そばにいるだけじゃつまらないから何か話をしようかとゼノンがいいだした。
ラチナスにとっては、そばにいてくれるだけで十分のはずなのだが、ゼノンの場合は黙ってたら知らないうちに死んでしまうかもしれないという焦りがあったのだ。

“何の話をするんだ?”

「えっと・・・うーん・・・。」

“話題がないのに何か話しようって言ったのか?
 しかたねーなー。じゃ、俺の願望、聞いてはくれないか?”

そう文章が表示された時、ゼノンは何かを感じ取った。遺言でも残すのだろうか?
メーターを見ると、心拍数が徐々に上がっている。やはり、危篤だったのだろうか?
焦りを抑えられないゼノンは、胸に激しい痛みを感じた。

“返事がねーぞ?聞いてくれるのか?聞いてくれねーのか?”

「あぁ、すまん・・・聞くよ。お前の願望。」

“ったく・・・黙るからいなくなっちまったかと思ったぜ。”

呆れながらいつもの調子で喋るラチナスの顔が、ゼノンの目に焼き付くように浮かんできた。
この姿がもう見れなくなってしまうかと思うと、本当に胸が痛い。自分のために、ここまで生きてくれたラチナスが、今、死にそうになってる。
こんなにも辛いことはない。そんな感情を悟られないように、必死に押さえ込もうとしていた。

「いなくならないよ。さ、早く話してくれ。」

そうでなければ、お前は死んでしまう。

“んじゃ、長くなるかもしれないけど、よーく聞けよ?
 俺の願望、まずは動きたい。
 体が動けなくなっちまった時からカプセルでの生活は余儀なくされちまったからな。
 全く動けないって相当きついぜ?”

軽く話すラチナスだが、心拍数はどんどん上がっていく。
こんなに元気に話しかけているのに、もうすぐ死ぬなんて考えられない。

“次は喋れるようになりたい。
 こんな機械でゼノンに話しかけてもしゃべった気にならねーよ。
 まぁ、脳で喋ってるみたいなもんだし喋ってるってことには変わりないけど・・・。
 でも俺は声を出して喋りたい!!!!
 俺がまだ元気だってこと、声を発して伝えたい!!!”

また心拍数が上がる。
次心拍数が上がったら、危険を知らせるアラームがけたたましくなるだろう。

“あとは、目が見えるようになりたい。
 目が見えなくなったときは本当に絶望感だった。
 まだ生きてるのにこの先の世界を見れないなんて、辛いじゃねーか。
 だから、今閉じてる重い瞼を開いて、ゼノンと一緒に世界を見るんだ!!”

普段のラチナスなら、この言葉を目を輝かせて言っているに違いないとゼノンは思った。
だが、次の言葉が、また表情をがらっと変えたようなものに変わった。

“・・・いや、世界を見る前に、ゼノンの顔が見たい。
 ここ数年、お前の顔を見てない・・・見たい・・・見たいよ・・・。今すぐ見たい・・・!!”

その思いが心拍数をあげる。しかし、鳴るはずのアラームはまだ鳴らなかった。

「無理するな。体に毒だ。」

“言われたとしても見たいんだ・・・この重い瞼を開いてお前の顔を見るんだ!!”

その言葉が表示されたとき、ラチナスの目がピクリと動いた。次に、頭も徐々に動き出す。それに連なって、体も動き出した。ラチナスの思いに反応して、奇跡を起こしていたのだ。
そして、その奇跡は続く。何と、固く閉じられた瞼はゆっくりと開き、死神特有の赤い瞳があらわになる。天井を見つめることになったラチナスは、先ほどから聞こえてくるゼノンの方に、顔を向き始めた。完全にゼノンの方を向いた状態になり、ラチナスは表情を崩し目に涙を浮かべ、口を動かした。声は出てはいないものの、ゆっくりとした口は「みえた」と。その証拠に画面にも「見えた!ゼノンが見えた!」と表示されている。
奇跡はまだこれで終わりではない。動き出した体も、だんだんゼノンの方に向き、ラチナスは弱々しく手を伸ばした。慌ててカプセルの蓋を開け、伸ばされた手を必死に握った。画面には「触れた。触れた!」と表示され、ラチナスは嬉しそうな顔をして泣いていた。
ゼノンもすかさず「今お前は俺が見えて、俺はお前の手を掴んでる!夢じゃないぞ!」と必死になって語りかけた。
そこへ、任務が終わったのか、ヴァリスが駆け込んできた。

「ヴァリス!見てくれ!ラチナスのやつ、寝たきりだったのに、目を開けて俺のことが見えるって!!それで、体動かしたんだ!!!」
「何だって!危篤じゃなかったのかよ!?」
「わからない・・・でも、でもこれは奇跡だ!!!すごいぞ!ラチナス!」

そういったゼノンに、さらに嬉しい奇跡が舞い降りた。

「これ・・・で・・・一緒に・・・世界を・・・見れる・・・!」

声が戻ったのだ。その一言一言はゆっくりだったが、確かにラチナスの声だった。整形をしてもとしはとっているので、ノイズがかかったような声にはなってはいるが。

「あぁ!見れるとも!!一緒に、世界を見よう!!」
「・・・見よう・・・一緒に・・・!」

その言葉を言ったとき、ラチナスは息切れをしだした。

「ど、どうした?」
「つ・・かれ・・・た・・・。」
「そりゃ、何十年ぶりに動いたんだ。疲れるの当たり前だろ・・・!」
「す・・まねぇ・・・寝て・・・いいか・・・?」
「・・・!!」

その言葉にゼノンは驚愕した。ラチナスが寝てしまえば、もう起きることがないことに気付いてしまったからだ。だが、心拍数のメータを見る限り、アラームがなる事は確実だった。もう、数分も生きてはいられない。
それを悟ったゼノンは、ラチナスを仰向けに寝かせて、優しくつぶやいた。

「ゆっくりお休み。休んでからだって、世界は見れるさ。」
「そう・・・だ・・な・・・・・・じゃ・・・お・・やす・・・み・・・・・・。」

ゆっくりと瞼を閉じ、ラチナスは安らかな眠りについた。
メータは、けたたましいアラームを鳴らさずに、ただ「ピー」と音を鳴らして部屋に響き渡らせた。
カプセルの蓋を閉じると、ゼノンの感情が溢れ出した。大粒の涙を流し、カプセルを叩きつけて叫んだ。

「ふざけんな!!!!!」

その声は、施設全体に響かせるほどの叫びだった。

「おい!寝てるだけだろ?!起きたら俺と世界を見るんだろ!?動いて、俺と喋って、それでその目で世界を見るのがお前の願望だろ?!!」

その姿に、ヴァリスは何も語りかけることはできなかった。

「起きろ・・・起きろよ!!!お前の願望達成できてねぇだろ!!!おい!!起きてくれよぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

部屋は未だに虚しく「ピー」という音が鳴り響く。
そして、ゼノンはカプセルにしがみつきながら、大声で泣き叫び続けた。


・・・・・・・・


数日後、「ラチナス・R・シュータス、ここに眠る」と書かれた墓石の前に、ゼノンとヴァリスが立っていた。
横目を見ると、「ゼノン・ルシタール、ここに眠る」と書かれた墓石が立っていた。

「気分悪いなぁ・・・やっぱ違うところに墓を立ててやればよかったかなぁ・・・。」
「でも、ゼノンはここに居るし、不老不死だから死ぬことはない。俺と一緒で。」
「うーん・・・でも、なんで俺の墓石残してあるんだ?奇跡で蘇ってるし、死なないってわかってるのに墓石あるのは気分悪いし、いい加減撤去して欲しいぐらいだ。」
「そんなこと言ったら隣にいるラチナスさんが可愛そうじゃん!死んでもゼノンといっしょ~みたいな感じでいいんじゃね?」
「・・・まぁ、そうだろうな。」

そう言葉を交わし、赤い薔薇のブーケをラチナスの墓石においた。風が吹き、剥がれ易い赤いバラの花びらが、風の乗ってひらひらと舞う。

「花びら剥がれやすいって・・・縁起の悪い・・・!」
「これしかなかったんだよ!!!でも、ラチナスもそう言ったのかもしれない・・・。」
「でもそのあと『花びらが舞う乗って綺麗だよな』って、言ってくれるよ。」

ヴァリスが慌ててゼノンを励ますと、ほんの少し辛そうに「そうだな」とだけつぶやいた。
そうして、気持ちを一段落させ、軽く深呼吸をしこうつぶやいた。

「じゃ、また1ヶ月後に来るからな。お前が、俺の墓の前でしてくれたように。」

その言葉に答えるように、赤い薔薇のブーケはいつまでもゆらゆらと揺れていた。



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あとがき
胸が痛くなるようなお話を書きたかった。
ゼノンさんやヴァリスは不老不死だし・・・そんな彼らと一緒に生きていくことなんて無理だっていうことを伝えたかったのです。
ほかにもあと二人ほど不老不死いるけどあえて登場させなかった。

不老不死って、いろんな意味で辛いと思うんだ。
知り合いがいなくなって、自分ひとりだけが残るってこと。
ゼノンさんの場合、ヴァリスも不老不死だから悲しさは少し軽減されているだろうけど、ラチナスさんの場合は、最愛の息子が先立たれるし、娘のように育ててきた子にも先立たれたりという現実を目の当たりにしてるからね。
だから、ゼノンさんにそんな悲しい思いをさせたくなくて、ずっと一緒にいてあげたいという思いだけで生きてきたんです。
でも、不老不死でもないラチナスさんがここまで生きてて、もはやこれが最初の奇跡だと私は思います。

ちなみに、ラチナスさんの年齢は、「7th Spirit」最終話現在だと56歳です。
それの100年後近く経っているのだから、精密に100年後だと考えると、156歳ということになります。
死神だから生きることができたのか、思いが強かったからここまで生きたのか、それはみなさんの想像にお任せいたします。


とまぁ、こんなに長い文章を最後まで読んでくださりありがとうございます。
こんなん書くよりほかのお話も書けよって話ですねすみません。
頑張って書きます、はい。


そんな感じ。
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