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【オリジ小説】ヒーローはここにいる!【EP:06】

ヒーローはここにいる! EP:06


氷室柊弥は、2人をステージ裏に呼んだ。そして、奥にあったパイプ椅子を用意して、それに座るように促し、ゼノンとライラは言われるがままに座った。

「さて、手っ取り早く本題に入るね。端的に言うと……僕はヒーローなんだ」
「え?氷室柊弥がヒーローなのは、私、知ってますよ?」
「あ、いや、役柄じゃなくて……本物のヒーローなんだ」

彼は、ヒーローだけが住む星、プラネットヒーローという星からやってきたマフラーナイト・コールドシルフィーと言う、本物のヒーロー。変身前の名はアイス・シルフィードであり、「氷室柊弥」という名前は、この地球上で名乗っている仮の名前だと言う。もともと、別の星に転送されるはずだったのだが、転送ミスによりこの地球に降り立ってしまい、変身を解いて街をうろついているところ、芸能事務所にスカウトされ「氷室柊弥」としてここ2年間、芸能活動を続けていた。本当は、ヒーローを排出する本部と連絡をとるはずだったのだが、通信機が全く応答せず、連絡を入れようにも通じないため困っていたというのだ。

「信じて……くれるかな?」

恐る恐る2人にきくと、迷うこと無く頷いた。

「だって、私たち死神だし!」
「あぁ、本物のヒーローだっていてもおかしくないもんな」

氷室柊弥──改めアイスは、その2人の言葉を聞いて胸をなでおろした。

「っていうか、氷室柊弥が本物のヒーローだよゼノン!」
「そ、それがどうし……あ……」

本物のヒーローと聞いて、ライラのテンションが上がっていた。今までに見たことのない表情で、自らをキラキラさせているように、ゼノンは見えていた。ここでゼノンは、何度目かの嫉妬をした。相手は芸能人で、ライラの大好きなヒーロー。しかも本物ときた。こんな表情を、出せなかったのが悔しい。負けていることは、パーティー中にも何度もわかっていたが、こんな敗北感、今まで感じたことがなかった。
やっぱり、悔しいな……。

「ん?どうかした?」
「あ、いや……何でもないよ……で、話はそれだけか?」

悔しい気持ちを振り払うように、ゼノンはアイスに向き直り問いかけた。

「うん。本部に連絡出来ないのは、自分で何とかするし」
「そうか……」

だが、ヒーローとして、いつまでも地球にいるわけにもいかないはずだと思ったライラは、どうしたら連絡できるか考えてみた。
そして、ライラの頭の上に豆電球が灯る。

「あの!通信機みせてくれますか?」
「え、あ、うん。いいけど……はい」

彼の通信機は、腕時計型だった。液晶画面は時間が刻まれていて、側面にボタンがいくつか付いていた。青いボタンを押すと、ホログラム映像が現れたが、テレビでいう砂嵐がうかび、ザー……という音しか鳴らなかった。おそらく、このボタンが通信ボタンだ。赤いボタンは緊急用なのだが、アイスが地球に降り立った時、押してみたものの全く反応しなかったという。

「ねぇ、ゼノン。セインさんなら、これ直せるんじゃないかしら?」
「あ、そうか!あの人いろいろできるからな!」

「セインさん?」と、首を傾げるアイスに、ゼノンは説明した。
セインさんとは、閻魔大王の秘書。その姿は、老人のうよな姿をしてるが、いつでもタキシードを着て、シャキッと立って書類の整理や、転送装置の整備、簡易転送装置の製作、モニター管理など、いろんなことが出来てしまう謎の人物。いつから秘書をしているのか、どうしていろいろ出来てしまうのかは、誰もその真相はわかっていない。

「その人に頼めば、この通信機直せるのかな?」
「たぶんな」
「じゃ、お願いしてもいいかな?」
「あぁ、直るという保証はないけど、多分セインさんならできる限りのことは、してくれるはずだからな」

そして、通信機修理の有無を知らせる連絡先を、ゼノンとアイスはさりげなく交換した。

「わ、私も!連絡先ください!」

と、ライラは発言した。どうやら、アイスの──氷室柊弥としての──連絡先が欲しいらしい。

「いや、俺にだけあればわかるだろ」
「そ、そうだけどぉ!ヒーローの連絡先を手に入れる絶好のチャンスだし、ゼノンがさりげなく連絡先を手に入れてるのが羨ましくて、つい……」
「いや、これは個人の連絡先じゃないだろ、芸能人だし」

「なぁ?」と、アイスに顔を向けると、キョトンとした顔で「個人的な連絡先だけど、欲しいなら交換してもいいよ?」と答えた。
ライラにとっては光栄な発言。目をキラキラさせて、アイスと連絡先を交換した。

「や、やった……ヒーローの、氷室柊弥の連絡先を、私、手に入れちゃった……夢見たーい!」
「夢じゃないよ、ライラちゃん」
「そ、そうですよね!」

「あの、これから連絡たくさんします!」と、ライラは言おうとした。しかし、芸能人だし迷惑はかけてはいけないと、グッとこらえて言いとどまった。
「大丈夫?」と若干心配されてしまったが。

「じゃ、何か進展があったら連絡する」
「うん、わかったよ。まぁ、僕は仕事あるから返事が遅れるかもしれないけど」
「承知の上だ」

そして、変身は映像加工ではなく、本当に変身しているとか、本当に変身してる事は、他言無用だとか、そんな会話をひとしきりした後「じゃ、今日は本当にありがとう!」と言葉を貰い、後ろ髪を引かれる思いだったライラを連れ、ゼノンは死神界へと帰って行った。

「本部と連絡できたら、僕、地球にいられなくなるのかな……」

2人に聞こえないように、アイスはポツリと言葉をこぼした。

続く
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